県北で田植えのときに持って行ったのが、南部せんべいにおふかし(赤飯)をはさんだまんませんべいです。農作業の合間にも手軽に食べられることなどが理由ですが、ご飯をはさんでなじませることでパリパリのせんべいがしっとりした食感になり、もちもちとしたご飯との組み合わせが楽しいものです。南部せんべいの黒ごま……
奄美の代表的な家庭料理で、派手ではありませんが、いつも身近にある母の味といえるような料理です。本土のだし汁で食べるそうめん料理とも、沖縄の油で炒めるソーミンタシヤーとも異なり、奄美では油とだし汁を使います。本土のだし文化と沖縄の油炒め文化との中間に位置する奄美の食文化をよく表しています。 材料は……
酢じめした魚をおからに巻いた形が、ほおかぶりした姿に見えることからこの名前がつきました。魚のうま味とぴりっとしたしょうがの味が甘酸っぱいおからとよく合い、次々食べられます。 海沿いではいつでも新鮮で安い魚が手に入るので、おからと魚を組み合わせたおからずしは、おきゃく(宴会)のときにも、日常のおか……
ほうり漬けは、乳酸発酵した大根の漬物と味噌、だしじゃこと少量の水を加熱しながら食べる鍋料理です。県内でも四万十川流域の山あいにある中津川集落だけに伝わるものです。名前の由来は、漬けておいて(放《ほう》って)おけばできあがるからではないかといわれますが、定かではありません。 大根は大きめの薄切りに……
片品《かたしな》村は尾瀬国立公園の麓《ふもと》にあり、関東唯一の特別豪雪地帯です。山に囲まれた冷涼な気候で米が十分にとれなかったので、あわ、きみ(きび)、ひえ、もろこしなどの雑穀や、大麦、小麦、豆類などをつくり、米のかさ増しにしてきました。 雑穀の中でもきみ(黄実)は黄金色の美しい色合いで銭小金……
長崎市は、江戸時代、外国への玄関口として発展してきた港湾都市です。材料を油で揚げる調理法が400年前にポルトガルから伝来し、天ぷらと称されるようになりました。長崎天ぷらは、江戸風、上方風の天ぷらとは違っているため、他国の人がそう名づけたという文献もあり、固有名詞となっています。卓袱《しっぽく》料……