耳うどんの珍しいかわいらしい形は耳に似せたもので、正月に食べると、一年中悪いことが聞こえずに済むといわれています。また、耳は鬼の耳を意味しており、食べてしまえば家の話を聞かれないから一年中悪いことが起こらないともいわれます。形が雛人形に似ているので「姫うどん」と呼ぶこともあります。正月にはゆでた……
日光では、夏のナラやクヌギなどのブナ科の広葉樹が茂る雑木林で、黄褐色の「ちたけ」を見つけることができました。笠の部分を引っ張ると白い汁が出てくるので「ちち(乳)たけ」とも呼ばれるきのこです。とくに、7月下旬から8月上旬の朝、涼しいうちにとったものです。足が早いので、すぐに食べました。塩水につけて……
県南部の東毛地域や西毛・中毛の平坦地は冬期の日照時間が長く乾燥しているため、米と麦の二毛作が行なわれます。かつては1日1食はうどん、おきりこみ(おっきりこみ)、すいとんなどの小麦粉を使った料理で、うどんが打てないと嫁に行けないともいわれました。 根菜類を入れた汁に生の麺を入れて煮たおきりこみが、……
地元でとれた小麦粉(地粉)を使ったうどんは、日常食としてもハレの日の食事としても供され、全県で広く食べられています。うどんを打つということは、炊事の中でとくに必須の技能とされて、昔は「うどんを打てないとお嫁に行けない」とまでいわれたそうです。 夏はとれたてのきゅうりや青じそ、ごまを使った冷や汁で……
山がちで平地が少ないため水田が少ない峡南地域では、米の代用として、地元の小麦を粉にした地粉のうどんを一年中日常的に食べていました。粉はひきたてがおいしく、最近は異常気象で夏が暑く秋になるとおいしくなくなってしまうので、自家用に小麦を栽培して製粉する家では粉を冷凍保存します。昭和40年代まで冷蔵庫……
うどんに甘く炊いた油揚げと九条ねぎを加え、とろみをつけてあんかけにし、しょうがのすりおろしをたっぷりとのせます。油揚げを使っていますがきつねうどんと呼ばないのは、とろみをつけたあんをかけて化《ば》かしているからともいわれています。 底冷えのする冬の京都では、本当に体の芯から温まる一品です。夏の暑……
具は少し甘めに煮た薄揚げとねぎだけですが、うま味のきいたかつお節と昆布のだしが際立つ一品です。うす口醤油で味をつけるので、汁の色は薄く、だし汁を味わいます。うどんはやや、やわらかめ。大阪ではそばよりもうどんが好まれ、家庭でも店でもよく食べます。うどんとかやくご飯という「うどん定食」もあります。 ……
香川県は典型的な瀬戸内海式気候で日照時間が長く、平野も広いので穀物の生産に適しています。おもな作物は稲ですが、戦国から江戸時代にかけて二毛作がさかんになり、小麦の生産が増えました。その小麦と季節の野菜などを組み合わせたのがこのうどんです。 いりこだしに油揚げやねぎなど、その時期にとれる野菜を入れ……
大分県南部に位置する佐伯《さいき》市米水津《よのうづ》は、豊後水道《ぶんごすいどう》に面した海の町。昔から漁師の家ではとれ過ぎたエソなどの魚をあぶったものやイワシの煮干しを醤油や砂糖、すりごまと合わせて「ごまだし」をつくり、ご飯にのせてお茶漬けにしたり、煮物や汁もの、だんご汁に入れて調味料のよう……