口絵

農務長(琉球)<のうむちょう>

近世琉球の指導者・蔡温が農事についての指導とその監督について令達した文書。土地の保全,農事の心得,農民の生活の心得,たくわえについて,有用植物の仕立て方,村役人の心得,の6部からなる。

耕作下知方並諸物作節附帳(琉球)<こうさくげちかたならびにしょものつくりせつつけちょう>

沖縄本島北部の大宜味村の勧農役人の書。毎月の1日に番所に赴いて報告したさいの書付で,農事一般,稲の播種期と農具の準備,毎月の農事暦,あとがきからなる。

寒水川村金城筑登之親雲上、耕作方相試田地奉行所へ申出之條々(琉球)<すんがーむらのうしょ>

寒水川村の農民による農書。ジャーガル土壌,マージ土壌,ウジマ地など,土質に応じた農法を説く。さつまいもの栽培にとくに詳しく,早植え,寄植え,つるがえし法,年2回作にふれるなど,革新的技術をすすめる。

安里村高良筑登之親雲上、田方并芋野菜類養生方大概之心得(琉球)<あさとむらのうしょ>

稲,さつまいも,野菜類の栽培および肥料のつくり方からなる。「楮」「唐蔓」「黒かつら」「唐かつら」「かぎや」「赤こう」など,さつまいもの品種が多数登場する。

西村外間筑登之親雲上農書(琉球)<にしむらのうしょ>

なす・ごぼう・とうがん・にんじん・わけぎ・らっきょうなどの野菜,豆類・あわ・きびなどの穀物,綿・たばこなど特用作物の手入れについて述べる。また畑作の収支や使用人の経費など経営についてもふれている。

八重山嶋農務帳(琉球)<やえやまじまのうむちょう>

沖縄の農業指導書である『農務帳』を八重山の実情に即して補足した農書。基本構成は『農務帳』と同じで,土壌保全の思想が貫かれている。さつまいも・豆類・からむし・あい・芭蕉などの作物を取り上げる。

農業法(薩摩)<のうぎょうほう>

農事研究に努めた著者が初心者向けにわかりやすく農耕の要領を説く。土壌肥料,農民の心得,土木・治水などについて親切に記述。

椎葉山内農業稼方其外品々書付(日向)<しいばさんないのうぎょうかせぎかたそのほかしなじなかきつけ>

ひえつき節の里・椎葉村での農業生産と生活の貴重な史料。山村生活,畑作の原形を示す。

全集完結に当たって——私の農書論