食品加工総覧2025年版 を収録しました。
「食品加工総覧」は2018年版(追録第15号)で紙による追録が終了しましたが、ルーラル電子図書館のコンテンツとして、2025年版から逐次、情報をお届けします。
小さな農産加工所のHACCP導入の取組み
2018年の食品衛生法の改正で「HACCPに沿った衛生管理」が制度化され、小規模事業者も2021年、簡易版である「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」が完全義務化されました。「小さな農産加工所のHACCP導入の取組み」の記事では、HACCPとは何なのか、何をどうすればいいのか、新潟県上越市の川谷もより農産加工所の取組みを紹介します。各種計画書と記録表、クレーム・事故対応報告書などの書類も収録しました。

営業許可制に移行した漬物の衛生管理など
食品衛生法の改正で、届出制から営業許可制に移行した漬物製造業については、「食品衛生法と営業許可」「安全・衛生管理のポイント」「表示その他」の記事を改訂しました。①漬物の一般衛生管理で大切な施設・設備およびその管理、食品等の取扱い、②HACCPシステムによる漬物の衛生管理。浅漬、キムチなど包装後に加熱殺菌しない漬物と、醤油漬など包装後に加熱殺菌する漬物の重要管理点のちがいとポイント、③原料原産地名表示、消費期限または賞味期限、食品添加物表示、注意すべき食品添加物の不使用表示など、漬物の食品表示について解説しています。
食品衛生管理とその考え方
漬物製造が営業許可制に移行した背景には、2012年に札幌市で発生した白菜の浅漬を原因とする腸管出血性大腸菌o157による集団食中毒事件があります。この事件をきっかけに漬物の衛生規範の改正が行なわれ、また食品衛生法の改正につながりました。食品のリスク管理が不十分で発生する食中毒や食物アレルギーなどの健康被害をどう防ぐか。食中毒や食物アレルギーの最新発生状況と対策、食品を取り扱う人間の心がまえについて「食品衛生管理とその考え方」で解説しました。
食品表示ルールの最新情報
食品の購入時に、食品の内容を正しく理解し、選択したり、安全性を確保したりするための情報が食品表示です。「食品の規格や品質,安全性の表示と各種法令」の記事では、食品表示ルールの最新情報を紹介しました。
現在、アレルゲンの特定原材料は、えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)の8品目で、特定原材料に準ずるものは20品目ですが、消費者庁から2025年度中に、カシューナッツを特定原材料に、ピスタチオを新たに特定原材料に準ずるものに指定する方針が示されています。
ほか、自主回収(リコール)の届出の義務化、原料原産地表示、遺伝子組換え食品表示、機能性表示食品などの制度見直しがなされており、2025年9月時点における食品表示制度の状況を解説しました。
以上、ご利用ください。
2025/12/17