子実用トウモロコシ生産の基本技術、サツマイモ、ジャガイモ、イネ、ムギ、ダイズの新技術を収録

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 『農業技術大系作物編』追録第44号を収録しました。
 トウモロコシでは、近年、濃厚飼料の自給化や新たな転作・輪作作物として「子実用トウモロコシ」が注目されています。今回の追録では、品目としての特性(飼料需給・政策動向・省力性など)、栽培の基本技術、品種選び・病害虫雑草防除・収穫機の選択・登録農薬区分をはじめとする各種栽培のポイント、乾燥・サイレージ調製技術など、子実用トウモロコシ生産の基本事項を収めました(第1図)。
 生産者事例としては、北海道の柳原孝二氏(柳原農場)に栽培技術と経営の概要について執筆いただいています。

第1図 コーンスナッパヘッダによる収穫作業
第1図 コーンスナッパヘッダによる収穫作業

 サツマイモでは、生育ステージごとの生理・生態と各地の作型・栽培技術を改訂しました。生理・生態としては「各器官の発達」「塊根の形成と肥大」「塊根の肥大と物質生産」「開花と結実」を、各地の作型と技術の特徴としては「関東・普通栽培」(第2図)「徳島・なると金時の砂地畑における栽培」「南九州・マルチ早掘り栽培」「南九州・デンプン原料用多収栽培」を収録しています。

第2図 関東・普通栽培におけるポット苗育苗(千葉県)
第2図 関東・普通栽培におけるポット苗育苗(千葉県)

 ジャガイモでは、生産事例と海外事情を中心に収録しました。このうち、生産事例としては、会社経営、法人経営から部会代表まで幅広く収録しており、水田転作として機械化一貫体系で加工用契約栽培する法人事例(第3図)など、今の時代における安定経営のヒントになる事例が豊富に収録されています。
 海外事情としては、今回はオランダのジャガイモ生産を取り上げています。オランダでは種イモ輸出向けのジャガイモ生産が盛んで、催芽処理が催芽バッグを使ってシステマチックに行なわれることなど、興味深い内容です。

第3図 大型のポテトハーベスターによる収穫作業(宮城県東松島市)
第3図 大型のポテトハーベスターによる収穫作業(宮城県東松島市)

 イネでは、水稲の直播やその関連技術として、「初冬直播き栽培」「振動ローラ式水稲乾田直播」のほか、無コーティング湛水直播栽培で使用される種子の根出し技術を収めました。
 ダイズでは水田転作ダイズでの安定多収効果が注目されている鶏糞施用について、コムギでは暖地でのパン用コムギのタンパク質含有率と収量を確保できる施肥技術として「穂肥重点型施肥」について収録しました。
 このほか、健康機能などが注目される「もち性オオムギ」について、主要品種を収録しました。

2023/03/30