酢を使わず、「灰持酒《あくもちざけ》」をたっぷり使った酒ずしは、鹿児島の料理の中でも豪華で手間がかかり、すし桶も朱の琉球塗と贅を尽くしています。4~5時間おいて酒とご飯がなじんだら食べ頃で、灰持酒の生きた酵素の働きで熟成してうま味の増した素材とご飯を、酒の芳醇な香りとともに味わいます。 元は島津……
神奈川県の水がめといわれる津久井地方は山がちで水田は少なく、麦飯やうどん、すいとん、まんじゅうなど日常の食生活は麦が土台でした。酒まんじゅうは夏祭りや盆にはどこの家庭でもつくったものです。種が発酵しやすい暑い時期につくるのがよいとされますが、7月の初めはどういうわけか失敗しがちで、盆の頃になると……
県最東部に位置する上野原市は水に恵まれない土地で、水田は少なく、陸稲、小麦、大麦、いも、こんにゃくがおもな産物でした。おやつには小麦粉を使うことが多く、正月や盆などのハレの日、祭りになると各家庭で、自家製の「まんじゅう酒」でふくらませた酒まんじゅうがつくられました。 まんじゅう酒や生地づくりは気……