古くから県南部や沿岸南部、また宮城県北部で子どものおやつや小昼に食べられてきたふわふわもちもちの蒸しパンです。トッピングのくるみが、渡り鳥の雁のようであることから雁月《がんづき》という説もあります。多くの家庭でつくられているだけにその家その家の味があり、ここで紹介する玉砂糖と味噌入りの茶色いがん……
県内全域でつくられている黒糖を使った蒸し菓子で、薩摩川内《さつませんだい》地域では「むっかん」、奄美大島では「ふくらかん」といいます。昔は小麦粉が貴重で、田植えや稲刈り、夏祭り、棟上《むねあ》げなど人の集まるときにつくられました。大隅《おおすみ》や南薩《なんさつ》などでは節句や冠婚葬祭のときにも……
おちらしははったい粉ともいい、裸麦や大麦を炒って粉にしたもので、香ばしく、粉のままでも食べられます。粉になると散らばるところからおちらし、また、臼でついて粉にすることをはたくということからはったい粉という名がついたといわれています。 昔は、裸麦ができると炒って石臼でひいてふるい、そこに砂糖を混ぜ……
武蔵野台地の北端になる川越地域は、江戸時代からのさつまいもの産地です。川越は新河岸川《しんがしがわ》から荒川を通じる江戸への舟運があり、米や農作物などの物資が運ばれました。寛政期の江戸の町に焼きいも屋ができてさつまいもの需要が増えると、近郊の農家は出荷用として栽培するようになりました。川越は重い……