三重県では「煮豆といえば落花生」という地域もあるほど、煮豆にするのが日常的で、とくに正月に欠かせない一品です。落花生は油脂分を多く含むため、煮物に適さないと思われがちですが、十分に煮こむとやわらかくほくほくとした食感が得られます。 大台《おおだい》町、大紀《たいき》町、熊野市金山町などは温暖で落……
落花生というと炒ったものが一般的ですが、富士山南西麓にある富士宮ではゆで落花生にします。夏から秋に出回る生の落花生を殻のまま塩ゆでにするもので、甘味があってやわらかく、炒り落花生とは全然違う味わいです。生の落花生は日持ちがしないので、その時期だけのおやつやおつまみとして昔から親しまれてきました。……
西三河地域では落花生がよく食べられています。西三河の中の、碧南《へきなん》やその周辺は落花生の産地で、砂地で微量の塩分を含んだ土質が落花生づくりに適していました。明治時代中頃の綿栽培の衰退により、栽培されるようになったようです。地元では、生落花生を「地まめ」と呼びます。保存する場合は冷蔵ですが、……
呉汁というと大豆でつくるのが一般的ですが、日向《ひゅうが》灘《なだ》寄りの都農《つの》町や川南《かわみなみ》町の一部、北西部の椎葉村《しいばそん》では落花生を使います。稲のとり入れは落花生の収穫時期と重なります。椎葉村では寒い時期の稲刈りの「かてーり(結・共同作業)」のねぎらいに、とれたばかりの……
秦野《はだの》市は明治半ばから続く落花生の産地で、相州《そうしゅう》落花生の名で知られています。日本で最初に落花生が栽培されたのは神奈川県です。富士山の火山灰が堆積した秦野盆地の土は落花生栽培に適し、1960年代までは落花生、麦、菜種、葉タバコなどを組み合わせた輸作が行なわれてきました。現在、神……
阿蘇地域南西部に位置する西原《にしはら》村では、山から吹き出す東からの強風を「まつぼり風」と呼びます。「まつぼる」とは根こそぎ持っていくという意味です。この強風のため、落花生やさつまいも、里芋、にんじんなど、土の中で育つ作物が農業の中心でした。そんな西原村でつくられてきた料理の一つが落花生豆腐で……
平野部で水田が広がる伊勢原市小稲葉《こいなば》では、11月20日はえびす講です。1月から働きに出ていた恵比寿様と大黒様が家に戻られる日なので、2人分の料理やお酒を床の間に用意し、この一年に感謝し、来年の豊穣と繁栄を願います。 お供えするのは赤飯とけんちん汁、尾頭つきの魚、なます、煮しめ、煮豆、み……