県南西部の主要都市、姫路市の周辺では、おでんには「しょうが醤油」を添えます。だしのよくしみた大根とさわやかなしょうが醤油の組み合わせは食べやすく、つい箸が進み、体が芯から温まります。 この食べ方は地元では当然と思ってきたのですが、じつは中播磨のごく限られた地域での食べ方でした。しょうが産地だった……
奈良盆地の北端にあたる奈良市では、昔は庭先に梅の木が植わっており、花を楽しんだあとは、実をもいで梅干しにしました。紅しょうがは梅と同時に塩漬けにし、梅の塩漬けから出る白梅酢を利用して赤じそと漬けこみます。同じ時期に仕込む新しょうがは甘酢に漬けており、紅しょうがに土しょうが(ひねしょうが)を使うの……
奈良県の伝統的な米菓子で、冬に仕込んで年中食べる素朴な味のおやつです。県北東部の山添村は三重県との県境に位置する高原の村です。夏は冷涼、冬は厳寒で、冬の寒く乾燥した日が続く気候をうまく利用してつくられています。ただしつくるのは、奈良の東大寺二月堂の行事であるお水取りが終わる3月中旬まで。それ以降……
神戸の貿易商の家庭でつくられてきた正月の膳です。瀬戸内海から日本海まで、田畑も山も川もある広い兵庫県の風土によって育まれた山海の幸を盛りこんでいます。 お平は丹波の山の芋などの山の幸と、瀬戸内のさわらを盛り合わせた煮物椀です。お平とは器の呼び名からきています。具材はそれぞれを別々に煮て盛り合わせ……