五目めしは夏の祇園祭や秋の山の神様のお祭り、また折々の農作業の節目や何か祝いごとがあるたびによくつくられたご飯です。「今日は山の神様のお祝いだから五目めしをつくる」と母親がいうと、とても楽しみだったそうです。 具材はかんぴょう、椎茸、にんじん、ごぼう、油揚げが一般的です。かつては貴重だったかんぴ……
エソや穴子のうま味を移したすし酢を使う、瀬戸内ならではのすしです。エソは小骨が多いのでそのまま食べるのには向きません。すり身にして酢につけ、そのうま味を効果的に利用するのです。旧北条市(現松山市)は、高縄《たかなわ》半島の西側に位置し、瀬戸内海に面しており、古くは漁港として栄えた地域で、海の魚を……
豊前《ぶぜん》海に面する港町、宇佐市長洲地区の「かちえび」を使ったちらしずしです。かちえびは、遠浅の豊前海でたくさんとれる赤えびをゆでて乾燥させたもの。殻を取り除くときに木の棒でたたくと「カチカチ」と音がすることからこの名前がつきました。かちえびの甘みとうまみがギュッとしみこんだ甘めのすし飯は絶……
鯛はつがいになったら決して離れないといわれていることから、鯛めんは結婚式の縁起物として欠かせないものでした。立派な鯛が一尾まるまるのった大皿は見た目にも豪華で、婚礼のしめくくりに出ると祝いの場がさらに華やぎます。海から離れた宇佐市院内町《いんないまち》では、自宅で結婚式をする際、特別に海に近い場……