福島県浜通り南部のいわき市では、以前は9~10月になると新鮮なさんまが大量に水揚げされました。この時期は一般家庭でも漁師からのいただきものなどで食べ方に困るほどです。さんまをたたいたなめろうや、それを焼いたぽうぽう焼き、みりん干しなど、さまざまに料理していました。 香ばしく焼いたさんまを尾頭つき……
内陸県の岐阜では、海の魚は行商人が運んでくる塩魚が貴重なものでした。さんまご飯は今は生さんまを使いますが、かつては貴重な塩さんまが1~2尾でも家族で楽しむことができるご飯として親しまれてきました。飛騨地域の下呂市萩原町では時季の終わりかけの大きい鮎(落ち鮎)で同様に「鮎ご飯」をつくります。 さん……
鳥羽市では、離島や沿岸周辺で一年中たこ壺漁が行なわれ、たこはいつでも入手できる食材です。とくに冬は扇状に広げて串刺しにされた干しだこは風物詩となっています。たこめしは地元を離れた人には郷里を思い出すおふくろの味的な存在です。五目ご飯のように他の具も入れるたこめしもありますが、この地域では生だこの……
「あめのいお」とは、産卵のため琵琶湖から川を遡上してきたビワマスのこと。秋、大雨で増水した川を遡上していくため、雨の魚、あめのいおと呼ばれています。普段湖にいるビワマスは刺身や塩焼き、煮つけや天ぷらなどで食べることが多いですが、あめのいおは産卵期で脂が落ちてさっぱりしているため、炊きこみご飯にし……
「いよ」は「うお」、つまり、魚の炊きこみご飯です。県西南部、かつお漁の母港である黒潮町佐賀(土佐佐賀)や、土佐清水市で今も生活の中に生きている伝統料理で、魚を尾頭つきで炊きこみます。 土佐佐賀では古くから冠婚葬祭や神祭(神社の祭り)、船おろし(進水式)などには大勢の客を招く習わしで、その夜は必ず……
他県では厚揚げと呼ばれるような分厚い「油揚げ」を炊きこんだご飯です。大きなさいの目切りにした油揚げは存在感たっぷり。油がなじんだご飯は寒くなる季節に好まれたようです。コクがありますが、大根おろしとねぎでさっぱりして、お茶漬けを食べるようにサラサラと食べることができます。 日本調理科学会が実施し、……
炒めた豆腐を炊きこんだユニークなご飯で、豆腐めしとも呼ばれます。「どんどろけ」とは、鳥取地方の方言で雷のこと。豆腐を油で炒めるときに雷に似た音がすることからこの名前がつきました。 今では日本有数の漁港もある鳥取県ですが、以前は船の出入りに好都合な港が少なく、魚は貴重品でした。そのため、昔から豆腐……