府の中央部に位置する丹波地方は、山々に囲まれ寒暖の差が激しく、大粒で良質の大納言小豆や味わい深い黒豆や大豆がとれます。煮豆に豆ご飯、黒豆味噌、青大豆味噌など、豆は食生活に欠かせないものです。大豆や黒豆の枝豆も、ゆでて塩をふったり枝豆ご飯にしたり、呉和えにして食べます。 呉和えは枝豆をすりつぶした……
西三河地域では落花生がよく食べられています。西三河の中の、碧南《へきなん》やその周辺は落花生の産地で、砂地で微量の塩分を含んだ土質が落花生づくりに適していました。明治時代中頃の綿栽培の衰退により、栽培されるようになったようです。地元では、生落花生を「地まめ」と呼びます。保存する場合は冷蔵ですが、……
聞き書き調査した西牟婁《むろ》郡上富田《かみとんだ》町は県の南西部に位置し、熊野古道「中辺路《なかへち》街道」の入口です。近くには田辺湾がありますが海には面していないので、昔は新鮮な生の魚は手に入りにくいところでした。ひじきも、生で手に入ることがあったら鍋で煮て乾物にし、保存して食べたそうです。……
クーブは昆布、イリチーは炒め煮です。ハレの日の料理として家庭や学校給食で伝え続けられています。昆布を炒めて食べるのは全国的に見ると珍しいと思いますが、時間をかけて昆布にだしを含ませ、ツヤツヤと照りがありしっとりとやわらかく仕上げるので、老若男女に好まれます。つくりたてもおいしく、時間がたって味が……