県北西部にある津久井地域では、煮こみうどんのことを古くから「にごみ」と呼びます。この地域は水田が少なく、米よりも小麦や大麦が多くつくられ、ご飯の足りない分にうどんやすいとんなどが食べられました。とくに夕飯にはうどんの日が多くありました。 生のうどんを直に煮こむので、塩辛くならないように塩を少量に……
一般的にだごは小麦粉を水で溶き、スプーンで流し入れたりちぎったりしてゆでたものです。だごの入った汁、だご汁は九州全域で食べられていますが、これは小麦粉の代わりにじゃがいもを使っただご汁です。 長崎県はじゃがいも伝来の地であり、現在でも生産量は北海道に次いで第2位です。県内でも、じゃがいもの生産に……
鶏肉、小松菜、なるとに焼いた切りもち、かつおだしのすまし仕立てが東京の雑煮として紹介されますが、23区内から奥多摩までの7地域で調べたところ、だしも具も地域によって違いがありました。 品川はいわゆる東京の雑煮ですが、板橋では小松菜と八つ頭のみ。小松菜は名(菜)をあげる、八つ頭は子孫繁栄の縁起をか……
県東部(呉東)で富山湾沿岸の滑川《なめりかわ》、魚津《うおづ》、黒部あたりでは、うまづらはぎや鯛、ぶりなどを焼いてむしった「むしり魚」と、野菜やなるとも入った具だくさんの雑煮がつくられます。紹介するレシピは滑川の商家で食べられてきたものです。魚の頭も捨てずに一匹丸ごとを利用します。昭和30年にこ……
県内の一般的な雑煮はいりこだしに白味噌仕立てで、丸もちに大根、小芋(里芋)、にんじん、真菜を入れます。醤油仕立てや角もちの地域や家庭もあり、1日目は丸もちで白味噌、2日目は角もちを焼いてすまし汁で食べたりもします。 もちに黒砂糖をかけるのはやや内陸部の勝浦郡で、海寄りの勝浦町は白味噌仕立て、山寄……
正月料理である雑煮を正月以外に食べる地域は少ないと思われますが、島原地方では比較的通年、この具雑煮が食べられています。島原半島には雲仙岳が、島原市には眉山《まゆやま》がそびえ、有明海に面した地域なので山海の幸が豊富で、具雑煮はその幸をふんだんに炊きこんでつくられています。寛永14年(1637年)……
熊本の雑煮に共通しているのは、醤油仕立てで丸もちが使われることです。具は大根、にんじん、里芋、椎茸、ごぼう、京菜、昆布、するめなどがよく使われ、縁起のよいように丸く切ります。これにちくわ、かまぼこ、焼き豆腐などが加わります。30㎝もの長さになり、長寿を願う縁起物とされる伝統野菜の水前寺もやしを入……