県東部で長野県に接する東濃《とうのう》で、中山間地域の恵那《えな》市や中津川《なかつがわ》市は栗が名産です。現在は栽培されている栗がほとんどですが、昔は山で拾ってくる自然からの贈り物でした。季節になるとみな競って山栗を拾いに出かけ、かち栗にしたりご飯に炊きこんだものです。 赤飯にも栗をたっぷり入……
四国の東端にある鳴門市近辺では、赤飯にごま塩ではなくごま砂糖をかけます。県内でもごま砂糖を使うのは鳴門だけで、他の地域ではごま塩です。江戸時代、鳴門は全国でも有数の塩田地帯として開発が進んだところで、昭和47年に塩田が廃止されるまで塩が生産されていました。そのため手に入れやすい塩に対して砂糖は貴……
県南西部の幡多《はた》地方は甘口の醤油を好む甘口文化圏とされており、海からやや内陸に入ったところにある三原村には、小豆を甘く煮て煮汁ごと混ぜた甘い赤飯があります。平地は少ない地域ですが、米や小豆、金時豆、ささげなどを昔からつくって自給してきました。 甘赤飯は噛むほどに砂糖の甘味が口に広がり確かに……
県西部の焼き物の里、有田で、煮ごみ(里芋や根菜と小豆、栗の煮物)や鯛の煮ふたち(尾頭つきの煮つけ)、甘酒とともに代表的なおくんち料理です。「せっかん」は赤飯のことです。 有田の町をあげての祭り「おくんち」は、陶山《すえやま》神社(八幡宮)の例祭として始まり毎年10月に行なわれてきました。その年の……
もち米だけを蒸したおこわと、煮小豆あるいは煮たささげを別々に盛りつけるのが特徴で、おこわをくちなしで黄色に着色することもあります。もち米は昔は貴重品だったので、結婚式などの祝儀には飯が赤い「赤飯」を、お盆や法事などの弔事には飯が赤くない「おこわ」を食べました。お盆には集まった親戚にふるまいますが……
おしるこの語源は一説には「餡汁粉餅《あんしるこもち》」とされており、小豆《しょうず》あんの汁の中に具としてもちが入っている食べものです。古くから日本人は米に対する特別な思いがあり、12月に入るともちつきをして歳神様の御神体として供える鏡もちをつくり、正月を迎える準備をしてきました。 鏡もちは、1……