鳥取との県境あたりの県北部は中国山地に囲まれていて、海の魚は山陰から来た行商から買っていました。いわしやさば、しいらの塩ものや、にしん、するめなどの乾物が主でした。いわしは安かったのでトロ箱でまとめ買いし、簡単にできる加工品としてぬか漬けの「へしこ」にして保存しました。こうすると半年から1年ほど……
「へしこ」は魚のぬか漬けです。半年以上熟成させたへしこは魚の旨みが凝縮され、濃厚なかつお節のような香りです。軽く焼くと香ばしさも加わってさらにおいしく、香りだけでもご飯を食べられるほどです。 もっともポピュラーなのはさばのへしこですが、かつては、海に近いところでは、売りものにならない細々した魚が……