伝え継ぐ日本の家庭料理

米のおやつともち
もちのいろいろな食べ方(*)と、米でつくる多彩なおやつを集めました。 神々しい真っ白なもちは何よりのごちそうで、あんや納豆など、工夫をこらした味つけでお腹いっぱい食べました。米の粉でつくるだんごやちまきは節句や行事の際の楽しみで、べこ(牛)やうずまきのような模様や、葉っぱで巻いた形も美しいものです。ぼたもちなど米粒の形が残る半づきもちは、粒のときよりもちもち感が増して、ごちそうに感じます。 日本人は「もちもち」が大好きですが、本書に集められたもちやだんごの「もちもち」の度合いには大きな幅があります。もち米は粘りを強くし、うるち米は歯切れをよくし、二つを混ぜることで強弱さまざまな弾力が生まれます。さらに、いもやよもぎや栃の実など、地域の産物を加えることで多彩な食感と味がつくられてきました。いずれも、米を無駄なくおいしく食べるための工夫の積み重ねです。残りご飯を使ったおやつや、米を甘味にかえる水あめや甘酒も本書で紹介します。

もち
米(粒)からなめらかにつきあげるもちのいろいろです。もち米にうるち米、そのブレンド、さつまいもや栃の実やおからを入れたもちもあります。つきたてのもちは甘い衣や塩辛い具でからめて食べます。乾燥したもちをかきもちにするのもまた、楽しみです。
もち料理
宮城県
もち料理
岩手県
バターもち
秋田県
味噌もち
山形県
豆腐もち
福島県
凍みもちのえごま和え
福島県
たがねもち
茨城県
ばんだいもち
栃木県
きみもち
群馬県
塩あんびん
埼玉県
性学もち
千葉県
あべ川もち
山梨県
おはたきもち
静岡県
栃もちのぜんざい
滋賀県
くるみもち
大阪府
いももち
徳島県
きらずもち
高知県
ぼんしもち
福岡県
酢もち
福岡県
こっぱもち
熊本県
ねりくり
宮崎県
ねったぼ
鹿児島県
かんもち
富山県
かきもちと切り子
奈良県
かきもち
鳥取県
おしゃかこごり
山梨県
おいり
兵庫県
おいり
岡山県

半づきもち
すりこぎなどで粒の形を残しながらつく、臼と杵でつくよりも手軽なもちです。もち米にうるち米、里芋も一緒に炊いて粘りやなめらかさを出します。他に赤飯で包んだだんごや、残りご飯の焼きもち、米の甘さを引き出したあめや飲みものも紹介します。
三つ目のぼたもち
茨城県
いもがいもち
富山県
おかまごんごん
愛知県
なべもち
三重県
いもぼた
奈良県
亥の子もち
和歌山県
ぼたもち
鳥取県
いもぼた
鳥取県
はんごろし
徳島県
ごまぼたもち
長崎県
いがまんじゅう
埼玉県
いがだんご
新潟県
みょうがの葉焼きご飯
千葉県
めしもち
東京都
ぎょうせん
岡山県
甘酒
宮崎県
ミキ
鹿児島県

米粉でつくる
うるち米やもち米の粉でつくるもちやだんご、まんじゅうです。小麦粉やかたくり粉もブレンドして、もちもち、ぷりぷりとした食感をつくります。生地自体に黒砂糖や味噌、醤油や柿を混ぜたり、甘いあんや塩味の具を包んだり。形も模様もさまざまにつくれます。
べこもち
北海道
べこもち
青森県
しとぎもち
青森県
ひなまんじゅう
岩手県
きりせんしょ
岩手県
柿のり
宮城県
あさづけ
秋田県
ごま巻きもち
秋田県
くじらもち
山形県
柿もち
栃木県
あんぼ
新潟県
おこし型
新潟県
うすやき
山梨県
水だんご
富山県
やきつけ
富山県
やしょうま
長野県
よもぎだんご
京都府
おあえだんご
滋賀県
阿波ういろう
徳島県
醤油もち
愛媛県
盃まんじゅう
佐賀県
かるかん
鹿児島県
フチャギ
沖縄県

葉で包む
葉ではさんだり包んだりした柏もちやちまきなどは、節句や田植え、祭りの際につくられ、手土産にも重宝されました。香りがよく、抗菌作用で保存性も高まります。枝ごと包んだり葉をうまく重ねて編んだり、自然の造形を巧みに生かす知恵や季節感が表れています。