伝え継ぐ日本の家庭料理

いも・豆・海藻のおかず

いもや豆、海藻を使ったおかずを集めました。保存がきき、いつも台所にあってさまざまに利用されてきた、地味ながらも日本の食を支えてきた食材です。じゃがいもやさつまいも、里芋は煮たり焼いたり揚げたりするだけでなく、すりおろしてだんごやとろみづけにしたり、皮つきで煮てまるごと食べたりと、まったく無駄にしません。そのままでは食べられないこんにゃくいもからこんにゃくをつくる技も、家々で受け継がれていました。  田んぼの畔で自家用に栽培されていた大豆は、味噌や豆腐だけでなく、常備菜の煮豆やひたし豆になりました。いんげん豆は甘煮にすることが多く、そら豆も干して保存し、一年を通じて食べました。大豆が育ちにくい土地では落花生が煮豆や鉄火味噌になりました。  昆布を食べると髪の毛が黒くなるとか、毎月8のつく日にあらめを食べると病気予防になるなど、海藻は体調を整える食べものとして好まれました。寒天やえご、いぎすなどでつくる寄せ物は、手間をかけたハレの日の料理です。

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いも

いもは食べごたえがあり保存もきき、米の補いとして日本の食を支えてきました。じゃがいもや里芋は小さないもも無駄にせず食べきり、さつまいもは干しいもで保存して煮物にしました。沖縄の田芋や滋賀の「秦荘のやまいも」の料理も紹介します。

大豆、いんげん、花豆、ささげ、そら豆、落花生を使った甘いおかずからしょっぱい常備菜まで並びます。大豆は打ち豆や生大豆粉といった加工品、枝豆の料理も登場。落花生は煮たり、乾燥そら豆は炒ったり、また地方の在来種の豆もさまざまに利用されています。

海藻

冬の生のり、早春のわかめは沿岸部でこそ味わえる季節限定の味。乾物のひじきやあらめ、切り昆布は、内陸部まで届き、煮物や和え物にされました。また、海藻は凝固剤としても使われ、寒天やえご、いぎすなどを煮溶かし固めた寄せ物は行事に欠かせない一品です。

こんにゃく

かつては、こんにゃくは家庭で生いもからつくりました。手づくりのこんにゃくは煮物にすると味がしみやすく、刺身にしても格別です。和え物の具として白和えやくるみ和えも好まれました。地域性のある赤こんにゃく、凍みこんにゃくを使った料理も紹介します。

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