伝え継ぐ日本の家庭料理

そば・うどん・粉もの
全国のそばやうどん、そうめんに、すいとんやだんご汁などの料理を集めました。全国で白米のご飯が十分食べられるようになったのは昭和30年代で、それまでは小麦やそば、雑穀やいもが主食の中で大きなウエイトを占めていました。さまざまな材料を粉にして練ることで、幅広の麺もやわらかいだんごも自由自在。風味が自慢の地元のそば、コシを引き出した地粉の手打ちうどん、地域性のあるつけだれやだしで食べるそうめん、とろみがおいしいほうとうやだご汁、つるっとした食感のたかきびだんご、ほのかな甘さのさつまいもの麺など多彩です。素材の多様さと味つけや具材のバリエーションから、土地の産物や歴史と結びついた麺や粉もの料理が生まれ、地域の味への愛着が形成されてきました。 昭和の半ば頃は、麺類が家庭で手打ちするものから乾麺やゆで麺を購入するものへ変化する過渡期にあたるようです。手づくりの形は変わっていきますが、各地でなじんだ味は、米の補いという役割から離れても伝えられてきています。

そば
かつては山間部ややせ地で、米や小麦の補いだったそば。手間をかけたそば切りはハレ食の代表になりました。シンプルな手打ちそばから、せん切り大根を混ぜたり大根おろしをかけたり、けんちん汁に入れるそばまで、お国自慢の打ち方と食べ方を紹介します。
そばかっけ
岩手県
そばねっけ
宮城県
むきそば
山形県
けんちんそば
茨城県
大根そば
栃木県
大根そば
群馬県
そば
神奈川県
利賀手打ちそば
富山県
おろしそば
福井県
しまいそば
岐阜県
干葉のおこがけ
長野県
伊吹そばと伊吹大根おろし
滋賀県
にしんそば
京都府
めかぶそば
島根県
そば切り
徳島県
けんちんそば
岡山県
そばじゅい
宮崎県
わくど汁
宮崎県
そまんずし
鹿児島県

うどん
夏はさっぱりと冷や汁で、冬は体が温まる煮こみで、また大勢で鍋やたらいを囲んで食べる釜揚げでと、うどんの食べ方は多彩です。手打ちうどんが日常だった小麦産地から、うどん屋が身近だった都市部まで、誰にも愛されたうどんの数々です。
うどんのあんかけ
山形県
ひっぱりうどん
山形県
まんがこ
福島県
耳うどん
栃木県
煮ごみ
栃木県
冷や汁うどん
栃木県
ちたけうどん
栃木県
ずりだしうどん
東京都
手打ちうどん
群馬県
おっきりこみ
群馬県
冷や汁うどん
埼玉県
ひもかわ
埼玉県
にごみ
神奈川県
おしぼりうどん
長野県
お祝いうどん
山梨県
手打ちうどん
山梨県
ほうとうとみみ
山梨県
きしめん
愛知県
味噌煮こみうどん
愛知県
伊勢うどん
三重県
たぬきうどん
京都府
きつねうどん
大阪府
打ちこみうどん
香川県
しっぽくうどん
香川県
包丁汁
愛媛県
たらいうどん
徳島県
ごまだしうどん
大分県
ほうちょう
大分県
鯛めん
大分県

そうめん
細さとコシ、のどごしのよさが身上のそうめんは、えびのだしやごまのつけ汁で夏にさっぱりといただきます。法事のおとうじや結婚式の鯛めんのようなハレ食がある一方で、昭和の中頃には徐々に身近な食品になってきて、日常の手軽な食事にも使われました。
ごまだれうーめん
宮城県
おとうじ
長野県
大門素麺
富山県
そうめんごま汁
千葉県
焼きさばそうめん
滋賀県
鯛そうめん
広島県
鯛めん
兵庫県
干しえびのそうめんだし
山口県
なすそうめん
香川県
冷たい汁そうめん
高知県
地獄そうめん
佐賀県
油ぞうめん
鹿児島県
ソーミンタシヤー
沖縄県

すいとん・だんご汁
ここでは小麦粉と水で練った生地を丸めたりつまんだりした、すいとんやだんご汁を集めました。麺よりも手軽にでき、たっぷり具の入った汁に直接入れて煮るので、これだけで簡単な一食になりました。地域や家庭により、生地ののばし方やかたさの違いが見られます。。

その他の麺・ 粉もの
たかきびやとうもろこしなどの雑穀、さつまいもや長芋でつくる麺やだんごは、その土地でとれるものを無駄なく利用しようとした人々の工夫から生まれた独特のおいしさです。その他、家庭でも外食でも親しまれている粉ものや麺料理もとり上げます。