金柑《きんかん》の木はお金に縁があるとして、県内では多くの家庭で庭木として植えています。日向灘に面する温暖な川南町では12月頃にはだいだい色に色づくので、正月に食べるために、暮れに甘く煮ます。色鮮やかなきんかんの甘煮はおせち料理に必ず入る一品で、正月に訪れた客のお膳にも欠かせず、酢漬けあじ、酢に……
ひきずりは、鶏肉をよく使う名古屋ならではのすき焼きです。かつては大みそかにひきずりを食べて、不必要なものを引きずらないで新年を迎えるという習慣があったそうです。江戸時代には地元の越津《こしづ》ねぎというやわらかい葉ねぎを使いましたが、今は生産量が少なく、一般のねぎが使われます。肉は名古屋コーチン……
今の大和高田市ですき焼きといえば牛肉。かしわ(鶏肉)のすき焼きを食べることは少なくなりましたが、食卓に肉があがることが少なかった昔は牛肉はもちろん、鶏肉を食べるのも特別でした。祝いごとや祭りの日、農繁期やかきもちなどの加工食品づくりで手伝ってもらった近隣の人たちにふるまう料理でもありました。 す……
壱岐は長崎県北部に位置し、福岡県と長崎県対馬市の中間に浮かぶ離島で、田んぼも多く米もよくとれ、漁場にも恵まれており、自給自足できる豊かな島です。昔のたんぱく質源はおもに魚でしたが、農家ではどの家も庭先で鶏を飼っており、肉といえば鶏でした。家で飼っていた廃鶏を利用して、盆、正月、祭り、共同作業のと……