乾燥そら豆を炒って米と一緒に炊きこんだ甘いご飯です。徳島市は和三盆の産地の板野町が近かったので、江戸時代から庶民でも砂糖を使うことができました。ただ、貴重品であったので、遠路からの客を迎えるときや田植えのときに早乙女さん(田植えに来た女性たち)に出すお茶うけとして、また、彼岸と法事のお供えなど特……
行事や祭り、結婚式、棟上げなどのおめでたい席の料理としてつくられる、岡山を代表するすしです。その誕生は江戸時代に遡り、宴席の食事を一汁一菜と制限した藩主の倹約令に対して、豪華な食事を楽しみたい町民がすし飯の下に具を隠して混ぜて食べたとか、すし飯の上にたくさんの具をのせても「一菜」だといってつくっ……
このすしは鰆の鮮度の良さが命です。鰆、そら豆の緑、卵焼きと見た目も春らしく、木の芽がさわやかな香りを添えます。中に違う味の具が入っているので、食感や味の違いも楽しめます。基本は四角形でしたが、近年は扇子型が多くなっています。県内のほかのすし、カンカンずしや石切ずしよりすし飯の押し方が弱めなのも特……
徳島県では、昔から亥《い》の月(10月)の最初の亥の日になると、収穫を感謝し、土地の神様をまつる行事「お亥の子さん」が行なわれます。このときつくるのがいももちです。以前はいもと一緒に蒸したもち米をつきこんでいましたが、最近では手軽に使えるもち粉やだんご粉を入れます。いもがたっぷり使われているため……
6~8月にかけてつくられる初夏のおやつです。5月頃にとれるそら豆(外豆《とまめ》)を乾燥させてとっておき、そのあんを6月からのびてくるみょうがの葉で巻きます。そら豆とみょうがの葉の香りに夏を感じます。 「ぼち」はもちのことで、小麦粉を練って蒸したものもこう呼びます。こねすぎないので噛み切りやすい……
県内で端午の節句に広く食べられてきたハレの日のおやつで、えべつもちと呼ぶ地域もあります。柏の葉ではなく、サンキライ(サルトリイバラ)の葉を使います。 多くの家庭では小豆あんですが、県北部の和海《わかい》地方のそら豆を栽培している家ではそら豆あんを包みました。小豆あんに比べてさらさらとしていて舌ざ……
小豆が県内全域で栽培され、ぼたもちや小豆雑煮、小豆ご飯などさまざまに利用されているのに対し、そら豆を乾燥させて保存するほど大量に育てている地域はごく一部です。鳥取市周辺や倉吉地域は昔からそら豆をたくさん栽培しており、乾燥そら豆を砂糖で甘く煮た「そら豆のこふき」がつくられていました。一方で、乾燥そ……