県北の山間の温泉地である奥津町では、春は山菜、夏は渓流魚、秋はきのこに冬はいのししや鹿と、四季を通じて山の恵みを食材にしてきました。昔は野うさぎや山鳥もとれたそうです。 しし鍋はぼたん鍋ともいい、鮮やかな肉の色や、それを皿に盛った様子をぼたんの花に見立てて古くから親しまれています。いのししがとれ……
ジビエ、野生の獣肉として注目されるいのしし肉は、昔から農作物を荒らす野獣として狩りの標的でした。中国山地が連なる県の東部から西部地域の山間部も例外ではなく、津和野藩ではいのしし1頭につき米3升を褒賞として与え、獲殺を奨励したといわれています。江戸時代は獣肉を食べることは禁忌だったので、「山くじら……
県南の山間部、那賀町《なかちょう》では味噌味で煮こんだしし鍋は冬のごちそうです。今は、人里に下りて田畑を荒らすいのししは害獣といわれますが、昔は山の恵みとされていました。 この地域では、昔は行商から買った海魚や、渓流で釣った川魚を食べることが多く、飼っていた鶏もたびたび食べられるものではありませ……