徳島県では、昔から亥《い》の月(10月)の最初の亥の日になると、収穫を感謝し、土地の神様をまつる行事「お亥の子さん」が行なわれます。このときつくるのがいももちです。以前はいもと一緒に蒸したもち米をつきこんでいましたが、最近では手軽に使えるもち粉やだんご粉を入れます。いもがたっぷり使われているため……
ぼんし粉という、うるちの砕け玄米をひいた粉を使ったもちで、もち米とよもぎ、塩を入れてつき上げます。弾力がありつつも、うるち米が入るので歯切れがよく、筑豊地域の山あいの盆地では冬場、焼いたり煮たりして食べてきました。田川郡赤村《あかむら》では、マッチ棒の大きさに切って、から炒りしたものを子どもたち……
県東部の豊前《ぶぜん》の農村地域では正月のもちは、29日の9は苦につながると、12月27日か28日に臼と杵でついたものでした。つき上がったもちはまず、床飾りの鏡もちとして大事に丸めました。2臼、3臼目は鏡もちの1/4ほどの大きさのお供えもちです。10組ほどつくり、井戸や台所、子どもたちの机の上に……