納豆味噌はいわゆる「納豆」ではなく、大豆と米と裸麦を発酵させたもろみ味噌にも似たもろみ納豆です。島原半島全域でつくられています。ルーツは諸説あり、島原の乱で原城に立てこもった天草四郎率いる一揆軍がつくったのが始まりという説、かつて島原では馬を育てる家が多く、馬へのミネラル分補給のためにもろみを食……
ばっけとは、東北や北海道の言葉でふきのとうを指します。県北部に位置する登米《とめ》市では3月に入り雪が溶けてきた頃にようやくばっけが芽を出し始めます。花が咲く手前でとらないと、苦味も強くまずくなってしまうため、暖かくなり一気に花が咲き始める前に田んぼの畔や野山に出て摘みとります。ほろ苦く、香り豊……
徳島ではゆずは古くから親しまれてきた食材です。県南部の那賀町《なかちょう》では、昭和35年に農業振興作物として生産が奨励される以前からも各家庭の庭先には必ずゆずが植わっていました。標高が高く、冷涼で昼夜の寒暖差が大きいこの地域では鮮やかな黄色に色づいた香り高いゆずがとれます。秋になるとゆずをしぼ……
春の訪れを最初に感じる料理です。ふきのとうは土の中から顔を出したくらいで摘んできてつくります。花が開く前のふきのとうは香りがよく苦味が少ないといわれています。まだ寒さの残る中、家族で家まわりや裏山で集めました。 ゆでずに、生のまま炒めて味噌と合わせると、香りや苦味が強く出て、大人向けの味になりま……
県北部に位置する宇佐市院内町《いんないまち》は海から離れた山間地で、海産物は容易に入手できるものではありませんでした。ここでは河川や田んぼに生息しているどじょうが貴重なたんぱく質源で、どじょう汁は大変なごちそうでした。夏場は田んぼを干すために水を抜く際、泥の中から出るどじょうがとれたので、どじょ……