三平汁は塩漬けやぬか漬けの魚と野菜でつくる塩味の汁で、北海道の伝統的な魚の汁です。江戸後期に各地の民俗や歴史、地理などの記録を残した菅江《すがえ》真澄《ますみ》の日記『蝦夷喧辞辯《えみしのさえき》』にサンペ汁が掲載されており、「北海道」の命名者とされる松浦武四郎の『再航蝦夷《えぞ》日誌』にも記述……
正月、七夕、盆、祭り、田植えなど人が大勢集まるときの食卓を飾る笹ずしは、県内では柏崎から上越、糸魚川にかけての南西部で広くつくられています。一つは小ぶりなので具のちがう7種類を全部食べても大丈夫です。笹の葉を皿の代わりにして、直接手で持って食べると笹の香りがさわやかで、ついついもう一つと手が伸び……
笹の葉を食器として、また腐敗を防ぐためにも利用した、奥信濃に伝わるすしです。手を汚さずに食べることができ、口直しの紅しょうがが最後になるよう盛りつけるなど、食べる人への配慮もこめられています。戦国武将・上杉謙信に由来し、謙信一行に笹の葉を皿にして、ご飯、山菜のおかずをのせて差し上げたところ大変喜……
県北部に位置する永平寺町は、曹洞宗の大本山である永平寺のふもと、県内最大の九頭竜《くずりゅう》川が流れる町です。祭りや盆には、豊作・豊漁の祈りや客人をもてなすために葉っぱずしがつくられてきました。もとは九頭竜川を遡上するサクラマスを使っていましたが、最近は北海道などの塩マスが使われます。包む葉っ……
朴葉《ほおば》はホオノキの葉で20~40㎝ほどの大きさになります。香りが高く、食器の代わりになり、防腐作用もある朴葉を使ったすしが県内各地で見られます。 山間地である飛騨地方の下呂《げろ》市荻原では、具にする塩マスは合わせ酢で煮たうえに酢をしみこませることで日持ちをよくします。遠方に住む親戚も楽……
赤と紺のコントラストが鮮やかなすしは、金沢や、金沢より南の加賀地区(白山市、小松市、加賀市など)で祭りなどの行事でつくられてきたものです。加賀地区は農業が盛んで、農家の庭先にはたいがい柿の木があり、柿の葉を使ったすしが一般的でした。金沢市内では木枠に詰める押しずしタイプ(『すし ちらしずし・巻き……
橋本市や伊都《いと》地方など県北東部の紀の川流域は、全国一の生産量を誇る柿の産地。古くから秋祭りや農繁期には必ず柿の葉ずしをつくってきました。柿の葉で包むと葉のよい香りがすしに移り、手に持って食べやすいだけでなく、柿の葉の抗菌作用で保存性がよくなります。秋祭りには重箱に詰めて親戚に持って行ったり……
県東部の山間部に位置する智頭《ちず》町は、海から離れているため、昔から塩魚や焼き鯖などの保存がきく魚や、清流でとれた川魚、池の鯉などを利用してきました。 智頭町やその周辺の八頭《やず》郡内で、お盆や祭り、来客時のもてなし料理の一品としてつくられている柿の葉ずしも、塩魚を使ってつくるすし。酢じめし……
柿の葉ずしは、奈良県を代表する料理で、県南部、特に吉野川の本流地域である吉野地方や五條市、川筋に近い御所《ごせ》市や高市《たかいち》郡で、田植えがすんで一息つく7月初旬から中旬にかけて、夏祭りのごちそうとしてつくられてきたものです。型箱で貯蔵するため、数日間は味わうことができました。 交通が発達……
白飯と鯖をアセ(ダンチク)の葉で巻いて桶に詰め、3~4日発酵させたなれずしです。あせずしとも呼ばれ、有田《ありだ》地方の秋祭りにはなくてはならないものです。棒状につくる地域もありますが、有田川沿岸や河口近くの地域では、食べやすいように切り身を使い、小さく巻いてつくる家が多いです。 秋祭りには5升……