うどんの幅より太く短い麺を野菜と一緒に煮こんだものです。かつて田んぼの代かきをする際、牛馬にひかせていた「馬鍬《まぐわ》」に麺の形が似ていることからこの名前がついたといわれています。まんがこが食べられている阿武隈《あぶくま》山系は、かつては冷害に見舞われることが多く、米の収量が少ない地域でした。……
上州(群馬県)の養蚕《ようさん》農家では、夕食はおおよそ「おっきりこみ」と決まっていました。県内でも西部と北部は麦づくりと養蚕がさかんな土地柄で、当時、蚕《かいこ》の世話をしながら男衆と共に野良に出て働く養蚕農家の女衆が、手早く大量につくれる料理として始めたのが発祥と伝えられています。 囲炉裏に……
日高市を含めた入間《いるま》台地は、耕地が火山灰土のため、水田がつくれず、小麦、大麦などの栽培がさかんな麦食文化の地域です。大麦は米に混ぜて節米に努め、小麦は粉にひいて麺をつくる習慣がありました。 うどんよりも生地を幅広く切るひもかわは、この地域では日常の食卓によく出される麺料理です。麺の幅や厚……
県北西部にある津久井地域では、煮こみうどんのことを古くから「にごみ」と呼びます。この地域は水田が少なく、米よりも小麦や大麦が多くつくられ、ご飯の足りない分にうどんやすいとんなどが食べられました。とくに夕飯にはうどんの日が多くありました。 生のうどんを直に煮こむので、塩辛くならないように塩を少量に……
山梨県は山間地が多く、水利が悪く稲作に向かない地域では、昔から小麦粉を主食とし、ほうとうはほぼ全県で食べられてきました。おほうとう、のし入れ、煮ぼうと、煮ごみうどんと地域ごとに呼び名の違いがあります。畑仕事を終えて帰宅後、地粉でつくった生地と野菜をだしで煮て味噌を入れ、10分ほど煮こめばよく、短……
きしめんは、名古屋市の名物料理を指す「名古屋めし」の中でも江戸時代から伝わる、約400年という長い歴史を持ちます。ゆでた麺の上に刻みねぎ、油揚げ、削りかつお節などを添えて、醤油味の汁をかけて食べます。平たい形状が生む独特の舌ざわりと、のどごしが特徴です。 この地方では、八丁味噌にみるように濃厚な……
小麦粉をこねて包丁で切り、太めのうどん状にのばし、たっぷりの煮汁で煮こんだ料理です。包丁と呼ばれる麺は太さも長さも不ぞろいですが、細いところはつるつる、太いところはしこしこと、均一でないのが味わい深いのです。手でのばすのでエッジは立っていませんが、ところどころのねじれた部分に適度に角があり、おも……
大分市の戸次《へつぎ》地域でつくられている料理で、2~3mもの長さにのばした麺をつゆにつけながら食べます。戦国時代に大分を治めていた大友宗麟《おおともそうりん》に、好物のアワビの腸《ちょう》に見立ててこの料理を出したところ大層喜ばれたそうで、このことから「鮑腸《ほうちょう》」と呼ばれるようになっ……