群馬県は清流が多く、鮎がよくとれます。昔から利根川上流や碓氷《うすい》川上流などには夏の期間だけ営業する「簗《やな》」と呼ばれる食事処があり、簗漁でとれた新鮮な鮎を調理して食べさせてくれました。一般に「簗」というと鮎をとる仕掛けをさし、川の中に設置した竹や木のすのこ状の台で泳いできた鮎を捕まえる……
鮎のくされずしは宇都宮市郊外にある羽黒山の梵天祭りにつくられます。市内の上河内《かみかわち》地区では鬼怒《きぬ》川が流れ、大量の鮎がとれました。その保存法である鮎の塩漬けを使ったくされずしが生まれ、秋に行なわれる梵天祭りの供えものや客人へのふるまいになったことで、受け継がれてきました。 塩漬けし……
県東部の奥三河地方の中央に位置する新城市は、山間で海はありませんが、豊川をはじめとする清流が流れ、昔から川の恵みである川魚や川エビなどが豊富でした。鮎めしは、川で鮎がとれる初夏から夏にかけてつくる料理です。鮎をとるのは、伝統的な笠網漁のほか、友釣り、伏せ網、ひっかけなどの漁法があります。新城市は……
焼いた鮎に醤油をかけ熱々のご飯にのせて蒸らすので、蓋をあけたときの香りは何ともいえません。ご飯には鮎の香気や旨みが移り、炊きこみ鮎めしより風味がよく、天然鮎の独特の香りと味を存分に味わうにはこれがいちばんです。豪華に見えるので来客時のおもてなしにもなります。初夏の若鮎より、大きく成長したお盆の頃……
長良川では1300年以上の歴史をもつとされる「鵜飼《うかい》」が現代まで継承されています。鵜匠が鵜を巧みに操り、鮎などの魚を捕らえる漁法で、鮎雑炊はその鵜匠の家々に伝わる家庭料理です。 鵜飼は5月から10月までの期間中は、特別な日を除いて1日も休むことなく行なわれます。そのため、鵜匠たちは体調を……
勝浦川流域の勝浦町や上勝町では、夏になると河原で新鮮な鮎となすやじゃがいも、玉ねぎなどで味噌仕立てのろうすい(雑炊)をつくります。この地域では「鮎の喰い川」と呼ぶ鮎の瀬張り漁が、漁業権をもつ人を中心に近所の人たちで行なわれます。川幅が広く流れの緩やかなところ(大川)で網を上流と下流から入れて鮎を……
県内各地には湖魚《こぎょ》を煮つけて食べる習慣が根づいています。湖魚にはイサザ、モロコ、ゴリなどさまざまな魚がいますが、よく食べられているのが小鮎です。小鮎とは琵琶湖内で育った鮎のこと。普通、川で育った鮎は20㎝ほどになりますが、小鮎は成長しても10㎝ほどの大きさで、煮ると骨までやわらかく、丸ご……