北海道には特産のじゃがいもを使ったおやつが多くあります。道南の松前町では、冷めたじゃがいもでつくる、もったりした粘りのあるどったらもちが食べられてきました。寛政10(1798)年に蝦夷地《えぞち》に「馬鈴薯《ばれいしょ》」が移入されたという記録が松前藩に残っており、松前地方は古くからじゃがいもを……
東予地区は、南予地区の大洲と並ぶ里芋の産地です。東予地区の西条市のうち、吉岡と庄内はとくに土が肥沃で水はけがよく、おいしい米や里芋がとれます。ほた煮はこの地域で誕生した赤芽系の親いもの料理です。今は廃棄されることもある親いもですが、昔はおいしく食べる工夫をしていました。 親いものほのかなえぐみや……
奄美大島で黒砂糖の原料となるサトウキビの栽培が始まったのは、約400年前です。昔は地域に共同の砂糖小屋があり、畑から刈ったサトウキビをそこに運び、きび汁をしぼって煮つめて黒砂糖をつくりました。島のほとんどの家庭では副業としてサトウキビ栽培に携わっていたので、自分の家で使う分は自分たちでつくり、毎……
地漬は、亜熱帯性の気候の中で、塩と黒糖で野菜を長期に保存できる沖縄の代表的な漬物です。主に茶うけとして、またおかずの一品として食べられてきました。地漬の歴史は古く、琉球王朝時代に中国からの使節をもてなした際の献立に「地漬大根」の記載があります。 地漬は、黒糖の甘みもある独特な味です。べっ甲色にな……
県内の一般的な雑煮はいりこだしに白味噌仕立てで、丸もちに大根、小芋(里芋)、にんじん、真菜を入れます。醤油仕立てや角もちの地域や家庭もあり、1日目は丸もちで白味噌、2日目は角もちを焼いてすまし汁で食べたりもします。 もちに黒砂糖をかけるのはやや内陸部の勝浦郡で、海寄りの勝浦町は白味噌仕立て、山寄……
7月20、21日の港まつり(土崎神明社祭《つちざきしんめいしゃさい》の曳山《ひきやま》行事)の時期につくられる、乾物のえい(かすべ)の甘辛い煮つけです。秋田市土崎地区は古くは北前船の寄港地で、活気のある港町。祭りの日にはかすべが赤飯とともに供されるので、かすべ祭りの別名もあります。外食の味ではな……
高知の特産品であるしょうがを黒砂糖で炊いた一品です。高温多湿な高知の気候はさとうきびとしょうがの栽培に適しており、しょうがの生産量は全国一を誇ります。さとうきびの栽培は1790年代から始まっており、1955年、昭和30年頃までは家々でさとうきびを育てて砂糖を自給していました。収穫したさとうきびを……