きんき(キチジ)はカサゴ目カサゴ科で、きんきんとも呼ばれる赤い魚です。昔から奥羽山脈を越えて、岩手や青森から運ばれてきました。県産の魚でないことと、はたはたへの愛が強いためか秋田の郷土料理の本にはあまり出てきませんが、年取りや正月の膳など秋田のハレの日にはなくてはならない魚です。とくに日本海側よ……
青森ではナラタケのことを「さもだし」「かっくい」などと呼びます。特有の味と香りが好まれており、加熱をするとつるりとした喉ごしになります。南部地方や津軽地方では、秋になると近くの山に行ってとったり、家族や知人からもらったりします。そうすると必ずつくるのがさもだしの塩辛です。 「塩辛」と呼ばれるのは……
11月になると県内では、直売所などの店先に青菜《せいさい》が山と積まれはじめます。この青菜を大きい株のまま、白菜漬けやたくあんのように大量に漬けるのが「青菜漬け」で、他の野菜と一緒に細かく刻んで少量から簡単に漬けられるのが「おみ漬け」です。おみ漬けには青菜の間引き菜を使ったりもします。 材料の山……
県南部の三戸《さんのへ》町は昔から食用菊の産地で、なかでも鮮やかな黄色い菊「安房宮《あぼうきゅう》」の生産がさかんです。安房宮は、江戸時代に京都の公家、九条家から観賞用にもらいうけた南部藩主が、香り豊かで甘味がありおいしかったため食用として広めたといわれています。三戸では酢の物や和え物、おひたし……