四方を海に囲まれた天草《あまくさ》の島々は、水田が少なく米が貴重であったため、畑で栽培されるからいも(さつまいも)を主食がわりにしていました。以前は晩秋になると家々で収穫したいもを輪切りにしてゆで、カラカラになるまで1カ月ほど天日に干し、「蒸しこっぱ」にしました。これともち米を蒸してつき混ぜたお……
「端午の節句といえばべこもち」というほど、白砂糖と黒砂糖でつくる2色のべこもちは道南を中心に親しまれています。べこもちのいわれは、白と黒の配色が牛(べこ)に似ている、黒色の部分がべっこう色(べっこうもち)、材料が米粉《べいこ》(べいこもち)など諸説あります。 道南の松前町は日本最北の城下町、交易……
下北地域では、端午の節句になるとべこもちをつくります。べこもちはもち粉とうるち米粉に黒砂糖と白砂糖を入れて別々に混ぜ、2色の生地を組み合わせて模様をつけたもち菓子です。きれいに模様を出すのは難しく、稲わらを束ねた「たばね模様」のつもりなのに、失敗すると「これはがに(蟹)だが?」とからかわれること……
もち米を笹の葉に包んでゆでた笹巻きは、端午の節句になると県内各地でつくられます。多くの地域では中のもち米は白色ですが、庄内の鶴岡田川地区の笹巻きは黄色いあめ色です。黄色いのは木灰の上澄み液(灰汁《あく》)にもち米を浸すからで、この地域だけに見られるものです。米粒は溶けて透明感があり、もっちりとや……
小麦粉と黒砂糖を使った蒸し菓子です。切り口が「ほた(腐敗してスカスカの状態の木)」に似ており、ようかんのように黒っぽい色合いで切り分けて食べることから、この名前がついたといわれています。 稲作農家が多い勝浦町でも、自分たちが食べる分の小麦は育てていたので、米屋で粉にひいてもらって使っていました。……