西濃地域の海津《かいづ》市は木曽三川(木曽川、長良《ながら》川、揖斐《いび》川)沿いで集落全体を堤防で囲んだ「輪中《わじゅう》地帯」として有名で、特有の川魚の食文化が残っています。川魚が多くとれた昔は、鯉やふなを鯉こく、ふな味噌、姿煮などにしてふるまいました。 ふな味噌はふなと大豆と味噌のうま味……
普通、梅干しはしょっぱいものですが、津軽では塩漬けして干した梅を甘く味つけ、赤じそでくるみ、甕《かめ》などに漬けて味をなじませてから食べます。適度な塩けと甘味、酸味が赤じその風味とよく合い、格別なおいしさです。ご飯と一緒にそのまま食べるだけでなく、刻んだものをご飯に混ぜておにぎりにすることもあり……
梅漬けは県全域で食べられている山梨県の保存食の代表です。その歴史は古く、江戸時代の『和漢三才図会《わかんさんさいずえ》』の「甲斐の国土産」にも小梅が記されており、県内各地に古木が見られます。 昭和30年代にはどこの家でも庭先や屋敷周りに小梅の木が植えられ、青梅で梅漬けを、熟した梅で梅干しをつくり……
県内各地には湖魚《こぎょ》を煮つけて食べる習慣が根づいています。湖魚にはイサザ、モロコ、ゴリなどさまざまな魚がいますが、よく食べられているのが小鮎です。小鮎とは琵琶湖内で育った鮎のこと。普通、川で育った鮎は20㎝ほどになりますが、小鮎は成長しても10㎝ほどの大きさで、煮ると骨までやわらかく、丸ご……
徳島では煮豆というと金時豆が親しまれており、かき混ぜ(五目ずし)やお好み焼きにも入れます。おせち料理の煮豆も黒豆よりは金時豆が多く、正月には甘煮だけを食べるよりも、甘煮と根菜類と一緒に炊いた「れんぶ」が県下全域で食べられてきました。建前《たてまえ》(新築祝い)にも大鍋いっぱいにつくって昼食にふる……