石狩鍋とは鮭を使った味噌味の鍋のことです。かつて石狩川河口は、秋になると産卵のために川に戻る鮭が押し寄せ、明治時代には地曳《び》き網漁で100万匹以上の鮭が捕獲されていました。漁夫のまかない食でもあった塩味のアラ汁(三平汁)がやがて醤油味や味噌味の台鍋《だいなべ》として親しまれるようになり、昭和……
今の大和高田市ですき焼きといえば牛肉。かしわ(鶏肉)のすき焼きを食べることは少なくなりましたが、食卓に肉があがることが少なかった昔は牛肉はもちろん、鶏肉を食べるのも特別でした。祝いごとや祭りの日、農繁期やかきもちなどの加工食品づくりで手伝ってもらった近隣の人たちにふるまう料理でもありました。 す……
県の中央に位置する郡上《ぐじょう》市では2年寝かせた風味豊かな「地味噌」が土地の味で、漬物や調味料にもよく使われています。鶏ちゃんも地味噌を使ったたれに鶏肉を漬けこんで焼く料理です。昔は各家庭で地味噌をつくっていたので、味噌味の鶏ちゃんが一般的でした。今でもたれは自家製という人は多く、地味噌にし……
中華街に近く中国籍の人も多い横浜市中区では、焼売は家庭料理の一つです。ただし、近くに中華料理店があり手軽に買えるので、手づくりより購入することが多かったようです。とくに昭和初期にできた崎陽軒《きようけん》の「シウマイ」が横浜みやげとして評判がよかったので、親戚が遊びに来るときには買ってきてもてな……
すき焼きほど肉が中心ではなく、ややあっさりした味つけで炊き合わせた野菜をたっぷりいただく、飽きのこない煮物です。肉と野菜のうま味を吸ったとろとろの麩もおいしくいただけます。 神戸市内でも、昭和30年代には外食では洋食文化が華やかでしたが、家庭の惣菜はまだ和食が中心でした。「ぐっだき」とはぐつぐつ……
北海道を代表する肉料理といえばジンギスカンです。昔はどの家にもジンギスカン鍋があり、長い冬は茶の間に新聞紙を敷いて七輪に炭をおこし、夏は野外で炭をおこし、丸い形の冷凍マトンロール肉と野菜をジュージューと豪快に焼きながら家族で食べました。 現在、マトンは輸入品が多いのですが、昔は北海道産でした。羊……
県中央部に位置する筑豊地方は、江戸時代には長崎と小倉を結んだ長崎街道の宿場町があり、文化や産業が行き交うところでした。行商も多く、現代では流通量が少なくなったくじら肉も、この地域では日常食で、かしわ(鶏肉)よりもよく食べられ、脂身は野菜炒めに使ったり、赤身肉はカレーや煮物にしたりと、生くじらも塩……
たっぷりとだしを含んだ麩を卵が包み、散らした青菜の彩りも鮮やかな車麩の卵とじは、簡単につくれるのに豪華な一品となり、金沢市や金沢市近郊の家庭で、昔から四季を問わず日常的に食べられています。子どもからお年寄りまで、誰もが好きな味です。夏場なら冷やして供すると、つるんとした食感がまたおいしく、食欲が……
名取市をはじめ、仙南・亘理《わたり》平野周辺の春祭りのごちそうに欠かせない一品です。「はたま」とは葉玉ねぎのこと。晩秋に小さな玉ねぎを畑に植えておくと翌春に玉ねぎの芽から葉が長く伸びてくるので、この葉とりん茎(球根のようなふくらんだ部分)を利用します。ハウス栽培がなかった頃は、春の野菜が少なかっ……
県内各地で食べられているおかずで、にがごり(にがうり)になすやかぼちゃなど、夏場豊富にとれる野菜を油で炒め、野菜の形が残る程度に軽く煮こんでつくります。水で濃いめに溶いた小麦粉で「どろり」と仕上げることがポイントで、こうすると食べやすくなります。にがごりは昔から体によいといわれており、夏バテしや……