鶏肉、ちくわ、栗、にんじん、ごぼう、干し椎茸などを味つけして煮た具をもち米と一緒に蒸しあげたおこわです。中国地方最高峰・大山は山岳信仰、神仏習合の霊場で、地元の人が参拝客などを精進料理で接待しており、その携帯食として大山おこわがあります。かつて僧兵が戦場に赴く際、勝利を祈願して山鳥と山草を入れた……
真庭市北部、鳥取県との県境に位置する蒜山高原一帯でつくられているおこわです。鶏肉に野菜、山ぶきなどの山菜や栗が入った具だくさんのごちそうで、素材の旨みと醤油の風味が上品です。田植え後のねぎらいの集まり「代満《しろみ》て」や祭り、行事、祝いごとなど、なにかあれば決まってつくられます。最近では食べも……
県北東部の登米《とめ》地域では、鶏のそっぷ(スープ)を使った甘くて具だくさんの茶碗蒸しが昔から正月の一番のごちそうでした。卵は貴重な食材で、子どもたちは家の鶏が産んだ卵を食べずに売っておこづかいを貯める「卵貯金」をしていたという話があるくらいです。 茶碗蒸しの卵液は、卵に対してスープの割合が多い……
高縄《たかなわ》半島の北西部に位置する旧北条市は、農業がさかんで、水はけのよい土壌はさつまいもがつくりやすく、かつてはどの家も自給し、いもつぼで保存していました。いもねりは掘り立ての10月頃のいもが一番上手にでき、秋から冬につくられたおやつです。つくっても3月までで、それ以降はいもが水を吸わなく……
大皿に盛られた煮物は、これが1人分です。大晦日の年取りから正月三日まで味わいます。長岡市内の豪雪地帯、山古志《やまこし》地区で長年つくられてきて、「正月のごっつお(ごちそう)」ともいいます。 くずれやすい豆腐だけは別鍋で煮含め、それ以外の食材は一緒に煮て味を調えて、1人分ずつ盛りつけます。具の数……
津軽地域の茶碗蒸しは年越し・正月に欠かせない料理です。卵液には栗の甘露煮の汁を加えて甘くし、大きめの器に根曲がり竹や栗の甘露煮などたっぷりの具を入れるのが特徴です。家族が好きだと、具材があればふだんからつくることもあり、正月はもちろん、日常的にも家庭で親しまれている味です。 味つけと具の種類、具……
県北西部に位置する諸塚村《もろつかそん》の料理です。村の94%は山林で、かつては林業、椎茸、茶、肉牛の複合経営が行なわれていました。 おひらと呼ばれる正月の煮しめは、春に収穫し保存しておいたぜんまい、たけのこ、自宅で栽培した椎茸、里芋、手づくりの豆腐の厚揚げ、こんにゃくが材料です。これにいわしの……
県西部の山内町(現武雄市)で、おくんち(秋祭り)の際のもてなし料理としてつくられてきた煮物です。おくんちには刺身やにいもじ(里芋の一種、水芋のずいきの酢の物)、がめ煮(すっぽんと野菜の煮物)、ご飯(赤飯・栗おこわ・栗赤飯)、おはぎ、蒸しまんじゅうや地酒を用意します。これらの料理をつくるときに出た……