瀬戸内海に浮かぶ周防大島《すおうおおしま》は水田が少なく、茶がゆは米を節約するためにかつて日常的に食べられていました。晒《さら》しで作った巾着(茶袋)に、自家栽培の豆茶を入れて、茶がゆ専用のカンスと呼ばれる鉄製の茶釜でつくられていました。豆茶だけでなく、ほうじ茶などを混ぜて使うこともあります。煮……
瀬戸内海の塩飽《しわく》諸島では碁石《ごいし》茶を使った茶がゆが、季節を問わず食べられていました。碁石茶は2段階発酵をさせた後発酵茶《こうはっこうちゃ》で酸味が特徴です。高知県・四国山地の大豊町《おおとよちょう》で数軒の農家が生産しています。碁石茶は交易品として、香川県から運ばれてきた塩や反物、……
干しいもは、県全域で年代を問わず食べられる冬のおやつです。明治時代に静岡から干しいもの製法が導入され、ひたちなか市那珂湊《なかみなと》地区のせんべい屋がせんべいを干す設備で初めてつくりました。その後、水産加工業者が干物の設備で製造し始め、市内の勝田《かつた》地区北部でさつまいもの作付面積が広がり……
いものこは、輪切りのさつまいもに穴をあけ、稲わらで編んでからゆでて乾燥させたもので、切り干しいもと違う珍しい加工方法です。乾くと白くなるので白干しとも呼ばれます。県最南部の南部町は温暖多雨で農林業がさかんな地域です。野菜は山や畑に掘った穴(むろ)などに保存しました。いものこは寒く晴れの日が続く1……
県西部の海岸沿い、遠州灘《えんしゅうなだ》に面する磐田《いわた》市から御前崎《おまえざき》市にかけては、昔から甘くおいしいさつまいもがとれるところで、切り干しいもは江戸時代にこの遠州地方から始まりました。いもは掘り上げてすぐよりも保存することで甘さが増すので、干しいもをつくるのは12月になってか……
田芋(里芋)とさつまいもを半分ずつもちのようについて混ぜ合わせた料理なので、けんかもちというそうです。2種類のいもを合わせることで、ぱさつかず、ほどよいやわらかさになります。さつまいもの甘みも感じられ、昔から子どもにもお年寄りにも人気のおやつです。 標高が高く、山に囲まれた物部《ものべ》町では、……
高知県にはさつまいものおやつがたくさんあります。干しいもは大きく分けて2種類。一つは「かんぺ」「かんば」「ほしか」「へら」などと呼ばれる生のまま薄く切って干したいもで、小豆と一緒に煮たり、もち米と一緒に蒸してついて食べます。もう一つが、「ひがしやま」「ゆでほしか」と呼ばれるゆでてから干したいも。……