「かきまし」は「掻き増し」と字をあてます。かき回してつくるのではなく、ご飯に他のものを加えて混ぜて(掻き)増量する(増し)という意味です。混ぜご飯、かてめし、また地域によってはかきまわしとも呼ばれます。家庭によって具はさまざまですが、ごぼう、油揚げ、干し椎茸、ちくわを入れることが多く、お祝いのと……
徳島県のばらずしは、かき混ぜと呼ばれ、具だくさんで、金時豆の甘煮が入り、すし飯に木酢《きず》を使うのが特徴です。木酢とは、ゆずやすだち、ゆこうなどのカンキツ類の果汁のことで、カンキツが豊富な徳島県ではよく利用されます。産地では冬になると1年分の木酢をしぼって一升瓶に保存し、いつでも使えるようにし……
塩いかは、海から遠い地方へ送るため、いかをゆでて塩蔵した保存食です。長野県では生のいかが流通する今日でもよく利用され、塩いかの全国消費量の約9割を占めます。なかでも酒粕(練粕)ときゅうりを和えた粕もみは塩いかの代表的な料理で、夏の日常食やお盆のごちそうとして上伊那・下伊那地方で親しまれ、海のない……
見るからに香ばしく、かりっと揚がった桜えびのかき揚げは、駿河《するが》湾に面する静岡市由比地区で昔から親しまれてきた味です。由比地区は桜えびとしらす漁が盛んで、とくに桜えびは日本一の漁獲量を誇り「桜えびの町」として有名です。今でこそ冷凍で流通しますが、鮮度の落ちやすい生の桜えびは、昔は地元で消費……
玉ねぎの甘味とえびの歯ごたえが絶妙なかき揚げは、富山湾に臨む富山市岩瀬では家庭料理の定番としておかずや丼の具としてよくつくられてきました。えびが重なったところはカリッと揚がらないので、なるべく薄く揚げるのがコツです。また、タネの段階で少しだけ塩を加えてえびの甘味を引き立てています。 白えびは水深……
霞ケ浦でとれた小さな手長えびのかき揚げです。霞ケ浦が汽水湖だった昭和の頃は、今より湖の栄養分が豊かで大きな手長えびがとれましたが、淡水化した今は大きく育たず、釜あげした小さいえびを使います。ただ、今でも霞ケ浦の漁獲量の1位はエビで、全漁獲量の約半分を占めます。 川えびは、わかさぎや鯉と並んで行方……
京都南部は寒暖差や地形が茶の栽培に適した土地で、茶どころになっています。その中で宇治田原町は冬の乾燥した気候を利用してつくる干し柿「古老柿」も有名です。 宇治田原の古老柿はつるして干すのではなく、刈りとった後の田んぼに組まれた「柿屋」と呼ばれる、わら屋根のついた棚に並べて干す珍しいつくり方です。……