いわしを塩水でゆでてからさっと煎りつけて、しょうがと酢醤油で食べるシンプルな料理です。ゆでると余分の脂がとれてさっぱりし、何尾も食べられます。 かつて石川県ではいわしがたくさんとれ、金沢市近在の金石《かないわ》港では、漁港周辺の道などにいわしの詰まった木箱が一面に並んだといいます。網から揚がった……
広島県では、かたくちいわしのことを「小いわし」と呼びます。体長10㎝程度のものを手開きして何度も水洗いした刺身は「七度洗えばたいの味」といわれ、広島湾沿岸にいるからこそ味わえる料理です。 毎年6月10日が解禁日で、夏は朝どれの小いわしがすぐに店頭に並びます。かつては広島市内の繁華街の本通《ほんど……
卯の花漬けは、「からなます」「から(おから)ずし」ともいいます。おからに甘酢で味をつけ、いわしの酢じめやゆでだこの薄切りなどを、にんじんのせん切りやねぎの小口切りなどの野菜と一緒に混ぜたものです。いろいろなつくり方があります。南房総では豆腐をよく食べ、夏には冷ややっこは毎日だったといいます。その……
九州の玄関口、北九州の伝統的な家庭料理で、ぬか床漬け(ぬかみそ漬け)のぬかみそを入れて炊いた煮魚です。古く小倉《こくら》城内で調理をした御殿女中の間で交わされた呼び名から、別名「おおさじ煮」。青魚を煮るときにひと握り入れると魚の生臭さが消え、よく煮こむことで煮汁の甘辛い風味とぬかみそや山椒の風味……
たっぷりの大根と新鮮ないわしをごま酢味噌で和えています。にんじんの赤ととくわか(わけぎ)の緑が彩りを添え、酢味噌のさわやかさにごまのコクが加わり、おかずにも酒肴にもなります。祭りなどハレの日の料理で、焼き魚のほぐし身や根菜の煮物を混ぜ込んだごちそうの混ぜご飯「すさ飯」と一緒に食べました。「すさ飯……
小さいけれど旨みの濃い背黒いわし(かたくちいわし)とたっぷりの黒ごま、しょうが、唐辛子、ゆずの酢漬けです。さっぱりとして風味豊かで、おかず、酒肴、おせちなどに広く親しまれています。 房総半島の太平洋側でなだらかなカーブを描く九十九里沿岸は海底が平坦で遠浅、沖を通る黒潮がプランクトンを豊富に運び、……
鳥取との県境あたりの県北部は中国山地に囲まれていて、海の魚は山陰から来た行商から買っていました。いわしやさば、しいらの塩ものや、にしん、するめなどの乾物が主でした。いわしは安かったのでトロ箱でまとめ買いし、簡単にできる加工品としてぬか漬けの「へしこ」にして保存しました。こうすると半年から1年ほど……
九十九里町はいわしの町。町全体がいわし漁とともに栄えてきた歴史があります。これは九十九里沖で水揚げされたいわしを使った家庭料理の一つです。いわしのつみれにねぎを添え、なるべく余計なものは加えません。うす口醤油を使うので、薄味に見えますが、やさしい味の中にしっかりとうま味とコクがあります。しょうが……