栃木県は小麦の産地で、冠婚葬祭にも日常にも、よく手打ちうどんがつくられました。さらに手早くできる日常の食事として、うどんや幅広のひもかわを煮こんだ煮ごみが、とくに冬場は毎日のようにつくられます。主食のうどん、おかずの野菜と汁が一品になっていて、肉や海の魚などがなくてもおいしく、すべて自給できるも……
富山市街から南東へ約30㎞、霊峰立山の麓に位置する芦峅寺《あしくらじ》は立山に入山する際の最後の村落で、道筋に並んだ宿坊が信者を出迎えました。その宿坊で出された精進料理が「つぼ煮」で、つぼ椀という蓋つきの朱塗りのお椀に盛ったことからそう呼ばれています。この宿坊料理が一般家庭にも広まり、かつては葬……
県西部の山内町(現武雄市)で、おくんち(秋祭り)の際のもてなし料理としてつくられてきた煮物です。おくんちには刺身やにいもじ(里芋の一種、水芋のずいきの酢の物)、がめ煮(すっぽんと野菜の煮物)、ご飯(赤飯・栗おこわ・栗赤飯)、おはぎ、蒸しまんじゅうや地酒を用意します。これらの料理をつくるときに出た……