にしんと大根を麹で漬けこんだ、旨みの深い保存食で、江戸時代からつくれらてきたと伝えられています。にしんは、昔は大量に水揚げされた貴重なたんぱく源であり、麹と漬けることで野菜に旨みやコクを与えました。かつては夏もきゅうり、なす、うりなどと一緒に漬けたにしんずしをつくりましたが、最近では気温が高く発……
「きっこうし」とは中越地区の方言で切ってぼっこす(壊す)という意味の「きっこす=乱切りにする、なた切り」から来ています。大根はよく味がしみるように、わざと不ぞろいに、なたの刃を斜めに半分ほど入れてから手首を返して切りました。「ねせ麹」は水分の少ない甘酒のもとのような感じで濃厚で、じっくり漬けるこ……
えんどう味噌は、豆に甘味があり、麹を多く使うことから、大豆の味噌のような辛さがなく、まったりした味わいです。県中西部の葛城《かつらぎ》地域では水田裏作として裸麦や小麦のほか、野菜、豆類も多く栽培され、どの家にもえんどう用の畑がありました。えんどうは野菜豆として自家用、出荷用とするほか、麦の秋(6……
香川県で味噌といえば白味噌。あんもち雑煮やぬた、てっぱい、白和えなど、県の代表的な料理には白味噌が多く使われています。秋に米を収穫後、蒸した大豆に多めの米麹とひかえめの塩を加えて仕込み、1~2カ月の短期間熟成させ、冬場の調味料として使いました。昔は、夏まで持たせると発酵が進んで酸っぱくなるので、……
しょんしょんは、麦麹と大豆麹、塩、あめ(大豆のゆで汁)、しょうがや昆布を合わせて発酵させたなめ味噌の一種です。最近は市販の麹を使うことが多くなりましたが、以前は10月頃に1年分の味噌を仕込む際に出るあめと自家製の麹を使ってつくっており、家々で味が違いました。甕《かめ》などに入れて保存しておき、少……
魚をご飯や麹と漬けこむいずしは、正月や来客時のごちそうとして、また、冬の間の保存食として北海道に根づいている伝統食です。鮭をはじめ、にしん、ほっけ、かれい、はたはた、きんきなど、いろいろないずしが各地でつくられてきました。 話を聞いた帯広市の家庭では、正月に食べられるよう11月中旬から準備を始め……
かぶらずしは、正月の伝統的な料理として各家庭でそれぞれ腕によりをかけてつくり、親戚や知人に配ったものです。脂ののった能登のぶりは漬けこむとロースハムのようなピンク色になり旨みが際立ちます。かぶはより甘く上品な味わいになります。 魚と米(めし)を発酵させるなれずしとは違い、麹も加えて北陸のマイナス……
県内にはさまざまな年越しの料理がありますが、ここではその中の三つを紹介します。 「年越しのおかず」は、美濃と飛騨路をつなぐ要路にあたる川辺町で伝わる煮しめです。大晦日の夜になると、新米を炊いて丸干しいわしと年越しのおかずを食べました。今年は食べ残すほどの食料があった、来年もこうであるようにとたく……
県北西部の秩父地方は、盆地特有の寒暖差が大きい気候で、夏はかなり暑くなります。この夏の高温を利用した発酵による甘酒やすまんじゅうが昔から各家庭でつくられ、甘酒は夏バテ予防によく飲まれていました。今も秩父では夏に甘酒祭りが行なわれていますが、この甘酒からすまんじゅうをつくり、みんなで食べていたそう……
甘酒には麹でつくるものと、酒粕と砂糖でつくるものがあります。麹でつくる甘酒は、砂糖をいっさい加えませんが、麹菌の働きで砂糖を入れたかと思うほどの甘味になります。 昭和30年代は現代のように電気炊飯ジャーに保温機能がなかったので、話を聞いた小樽市の家庭では、母親は鍋や甕《かめ》に仕込んだものを毛布……