県中央部に位置する佐川《さかわ》町でつくられているきらず(おから)を使ったもちです。きらずともち米を同量混ぜてついてあるので、歯切れがよく食べやすくなっています。あんを包みきび粉をまぶしたもちは、甘すぎずあっさりとしており、ひとつ、またひとつと手が伸びる素朴なおいしさです。きび粉は、硬粒種のとう……
あんこ入りのふつ(よもぎ)もちに、塩小豆がまぶしてあります。食べるとよもぎの香りが口いっぱいに広がり、優しい塩味があんの甘さを引き立てます。塩小豆のホクホクとした食感が、やわらかいもちを食べる中でアクセントになり、なかなか他にはないおいしさです。焼き物の里・有田で食べられてきたもちで、4月3日の……
11月(旧暦10月)の最初の亥の日に食べるもちで、いんのこもちともいいます。亥の子もちというと宮中行事に由来する、もちに小豆、大豆やごまなどを混ぜた和菓子が知られていますが、和歌山県ではもち米に里芋を加えてつき、小豆あんでくるんだもちをさします。里芋が入っているので普通のもちよりもやわらかく、2……
鳥取は小豆ご飯や甘い小豆汁にもちを入れた雑煮など、米と小豆を利用した料理がたくさんありますが、ぼたもちもそのうちの一つです。お彼岸だけでなく、田植え終わりに豊作を祈って行なわれる「代満《しろみ》て」や稲刈り後の「鎌祝い」、稲の脱穀後の「こき祝い」などの農耕儀礼の際にもぼたもちをつくって、神棚や仏……
北本《きたもと》市、鴻巣《こうのす》市、加須《かぞ》市をはじめ、県東部の穀倉地帯で広く親しまれているまんじゅうです。まんじゅうといいながら、まわりに赤飯をまぶしてあり、それが栗のいがのように見えるのでこう呼ばれています。ユニークな形と素朴な味で、まんじゅうと赤飯という異なる素材が、意外にマッチし……
米粉でつくったあん入りの甘いだんごを薄いピンク色の赤飯で包んでいます。中越地方の柏崎でつくられるもので、赤飯をいが栗のいがに見立てています。だんごと赤飯というめでたいものを二つ合わせ、これ以上のごちそうはございませんというおもてなし料理でした。田植えのとき、6月のえんま市、十五夜、お盆、祭りに刈……
米粉の生地であんを包み、色をつけたもち菓子で、花まんじゅう、花だんご、ひなだんごとも呼ばれます。女の子のいる家庭では桃の節句には必ずつくり、くるみと黒砂糖入りの「きりせんしょ」(『米のおやつともち』p68)とともにおひな様や神様、仏様に供えました。 このお菓子が見られるのは県央部の北上川流域の水……
府南部の京田辺市あたりでつくられてきたものです。この地域ではあんを中に包むことはせず、間にはさんで「だんご」をつくります。また、生地を型押しして模様をつけるのも独特で美しく、桃の節句に花を添えるものになっています。型は以前は木型を使いましたが、生地が型に残って洗う手間もかかるので、カットガラスの……
小豆あんと上新粉を水で練って蒸した、徳島県の代表的なお菓子です。シンプルですが、適度な甘味ともっちりした食感で、誰もが好きな味です。以前はひなの節句になると菱もちと一緒にひな壇に並べたり、「遊山箱《ゆさんばこ》」という三段の引き出しのついた弁当箱に詰めて、子どもに持たせたりしました。遊山箱には、……
県西部の山内町(現武雄《たけお》市)でつくられてきたものです。田植えどきや祇園祭りに、また子どものおやつにもつくられました。 うるち米ともち米の粉を混ぜた生地であんを包みますが、生地はあまりこねません。ポロポロとした状態で、にぎるとまとまりますが、また崩れてしまう程度にします。この生地を蒸すと、……