にしんを巻くときに、2枚重ねた昆布で巻いていくので層が厚くなり、たっぷりと昆布を食べることができます。昆布好きの富山県らしい昆布巻きといえるでしょう。煮ては冷ますを2~3日じっくり繰り返すので味はよくしみこみ、昆布はやわらかく煮上がり、一人でいくつも食べてしまいます。 江戸時代、加賀藩の直轄港だ……
宮城県との県境にある一関市は北上川流域の豊かな水田地帯で、恵比寿講やお大師様の年越しなどの神々の日や農作業の節目、冠婚葬祭などにはもちをついてきました。もちは一番のごちそうなのです。 もちは、やわらかいつきたてに衣をからめて食べます。かつては自宅で婚礼があると、「もち本膳」といってあんこもち、雑……
ささげの一種のみとり豆をあんにしたまんじゅうです。みとり豆は大分県との県境に近い上毛町《こうげまち》で古くから大切につくり続けられている豆で、同じ豊前国《ぶぜんのくに》だった大分県宇佐市などでもつくられています。福岡県東部にある上毛町は山国川と山々が広がる豊かな町で、米と麦の二毛作がさかんに行な……
おちらしははったい粉ともいい、裸麦や大麦を炒って粉にしたもので、香ばしく、粉のままでも食べられます。粉になると散らばるところからおちらし、また、臼でついて粉にすることをはたくということからはったい粉という名がついたといわれています。 昔は、裸麦ができると炒って石臼でひいてふるい、そこに砂糖を混ぜ……
きな粉を黒砂糖と水あめで練りかためた素朴なお菓子です。ねっとりとして噛み切るのは難しいですが、ゆっくりとなめていると自然にやわらかくなり、きな粉の風味とやさしい甘さが口の中に広がります。切り口がつぶれずにきれいに丸い断面になるのが美しい甘々棒です。 戦国時代から江戸時代の中期にかけて飛騨高山を治……
兵庫県の瀬戸内沿いの春の風物詩です。いかなごは「玉筋魚」と書きますが、地元では「春告魚」とも書きます。スズキ目イカナゴ科の魚で、かますに似ているのでかますごと呼ばれることもあり、関東ではこうなご(小女子)と呼ばれます。 毎年2月下旬頃から4月頃にかけていかなご漁が行なわれ、新子と呼ばれるその年に……
納豆味噌はいわゆる「納豆」ではなく、大豆と米と裸麦を発酵させたもろみ味噌にも似たもろみ納豆です。島原半島全域でつくられています。ルーツは諸説あり、島原の乱で原城に立てこもった天草四郎率いる一揆軍がつくったのが始まりという説、かつて島原では馬を育てる家が多く、馬へのミネラル分補給のためにもろみを食……
ポン菓子に水あめをからめて丸めた、ひな祭りのお菓子です。鳥取では、昔はよくポン菓子をつくる業者が集落にやってきていたので、家の古米を持っていき、ポン菓子にしてもらっていました。ポン菓子はおやつに食べることもありましたが、甘い水あめをからめた大きなおいりはボリューム感もあり特別な味わいで、子どもた……
たらの干物を3日間水で戻し、ザラメ、醤油、酒でやわらかくなるまで長時間煮た料理で、南会津町田島で古くから正月や祭りのごちそうとしてつくられてきました。とくに7月下旬に開催されている会津田島祇園祭は800年以上の歴史がある一大行事。祭りの数日前から棒たら煮やにしんの山椒漬け、干し貝柱と煮干しのだし……