小麦粉生地を薄くのばしてゆで上げたものを、はっとと呼びます。かにばっとは、モクズガニという淡水に生息する食用がにを殻ごとつぶしてだし汁をつくり、はっとを入れる料理で、かにの濃厚な味と香りがおいしい一品です。かにが産卵を迎える夏から晩秋にかけて、一関市川崎町周辺の北上川で捕獲されます。30~40年……
手で薄くのばした小麦粉の生地「はっと」を具だくさんの汁に入れた県北の料理で、「つゆはっと」「はっと汁」とも呼ばれます。県北の仙北地域や大崎地域は米どころですが、かつては伊達藩による「買米制度」(年貢米以外の余剰米を安値で強制的に買い上げる制度)により、米農家でも麦飯や小麦粉を使った料理をよく食べ……
法度汁とはすいとんのことです。県内全域で食べられ、地域により「はっとう汁」「だんご汁」「とっちゃなぎもち」などとよばれます。「とっちゃなぎもち」は、生地を手でつまんで落とす(とっては投げる)ことからの呼び方です。「法度」はおいしくて食べすぎるので「ご法度」になったという説もあります。 かつては米……
いわゆるすいとんで、醤油味の汁を煮立て、こねた小麦粉を小さくちぎって入れます。つみっこ(片品《かたしな》)、つめりっこ(邑楽《おうら》)、おつゆだんご(吾妻《あがつま》)、ねじっこ(赤城山《あかぎやま》南麓)、だんご汁(沼田)といろいろな名前で呼ばれており、手早くつくれて野菜がたっぷりとれるので……
大分との県境にある豊前《ぶぜん》地域では、夏から秋のかぼちゃがとれる時期になると、かぼちゃのだんご汁をつくります。基本の材料はかぼちゃ、いりこ、小麦粉の3つですが、塩味だったり味噌味だったり、かぼちゃの切り方や煮くずし加減、加える材料など、各家庭の母の味があります。山国川《やまくにがわ》をはさみ……
小麦粉を使った日常食で、米の代用としてご飯が足りないときにつくります。「つん切りだご汁」ともいいます。煮干しでだしをとり、皮くじらと醤油で味をつけ、その中に小麦粉を水でこねたものを適当に手でつん切り(ちぎり)ながら、季節の野菜と煮て食べます。 旧山内町(現武雄《たけお》市)は県西南部の山間の農山……