県南部の人吉・球磨《くま》では、地域ごとに親しまれている神社があり、多良木町の天満宮なら「天神さん」、湯前町の里宮神社なら「里宮さん」と呼ばれます。各神社の秋祭りのごちそうに決まって出されるのがつぼん汁です。里芋やにんじん、ごぼう、鶏肉や焼き豆腐などを小さく切って煮た具だくさんの汁もので、食べる……
県南西部で飛騨山地の北端にあたる五箇山《ごかやま》地方は、現在は南砺市に含まれますが、砺波平野とは急峻な山地によって隔絶されています。山々に囲まれ平坦地は乏しく、生活の場は山腹のゆるやかな斜面です。わらでしばって持ち歩くことができるほどかたい五箇山豆腐が有名で、山腹を利用した赤かぶの栽培と赤かぶ……
浄土真宗の宗祖・親鸞聖人の恵みに感謝する法要、報恩講を白川郷では親しみをこめて「ほんこさま」と呼びます。11月上旬から12月に行なわれるほんこさまは、冬の一大行事。親戚や近所の人を家に招き、お坊さんの読経のあと、お斎《とき》として心づくしの料理でもてなします。 料理の準備は、その年の春から始まり……
郡上《ぐじょう》市の明宝《めいほう》地区で、行事やもてなしの際につくられる、砂糖が入った甘さのある料理を2種、紹介します。砂糖が貴重だった時代に、甘い汁は特別なごちそうでした。 菓子椀は、報恩講や法事をはじめ、節句のお祝いなどさまざまな行事でつくられます。具材を一つずつ味つけし、甘い汁をかけます……
佐渡のどの家庭でも食べられている伝統料理の代表が佐渡煮しめです。コトコト煮こんで味がよくしみこみ、人が集まるお盆や祭りや冠婚葬祭に欠かせません。ご恩がつくように大根、昆布、にんじん、こんにゃくなど「ん」のつく野菜を煮て、だしをたっぷりと吸った車麩を入れることが特徴です。少量ではあまりつくらず、大……