茶めしは、煮出した番茶で炊いた薄茶色のご飯で、わずかに塩味がきいています。伊東市や富士宮市、御殿場市などの東部地域では、仏事のときに白飯ではなくこの茶めしを食べます。県内でもこの地域にだけみられる習慣で、仕出し屋でも仏事用の折り詰め弁当に茶めしを使うことがあります。 茶めしに使う番茶は、一番茶や……
三重県から和歌山県、奈良県の山間部の、米の収穫量の少ない地域で考えられた料理です。茶がゆは水分が多いため、米が少なくても満腹感があり、大人数で食べられます。米と水、茶葉だけで手軽にでき、口当たりも消化吸収もよく、食欲のないときに最適です。 県内では、調査した松阪市以外に、熊野市紀和町、紀宝町、津……
「大和の朝は茶がゆで始まる」といわれ、県全域で毎日食べられている主食で、東大寺のお水取りの際に修行僧がいただく寺院の行事食でもあります。茶の風味と塩味が合い、昔から「さらっとしている」と表現されるように粘りがないのが特徴です。さらっと仕上げるために、米が割れない洗い方、火加減など、各家庭で工夫が……
瀬戸内海の塩飽《しわく》諸島では碁石《ごいし》茶を使った茶がゆが、季節を問わず食べられていました。碁石茶は2段階発酵をさせた後発酵茶《こうはっこうちゃ》で酸味が特徴です。高知県・四国山地の大豊町《おおとよちょう》で数軒の農家が生産しています。碁石茶は交易品として、香川県から運ばれてきた塩や反物、……