沖縄料理の中でも最もポピュラーで、県内の学校給食でも食堂でも、必ずといっていいほどメニューにあり、毎日食べても飽きのこない一品です。 チャンプルーは豆腐と一緒に季節の野菜を炒める調理法で、ゴーヤーチャンプルーは夏場の野菜の少ない時期に、食卓にはなくてはならない料理です。ゴーヤーと島豆腐があれば、……
「シリシリー」は方言でおろすまたはせん切りの意味で、その動作やすりおろすときの音からきたものともいわれています。また、おろし器、おろした物を使った料理の名前としても用いられています。 終戦後しばらくは、トタンや大きめの缶の蓋に釘で穴をあけ、それを使ってにんじんをおろした時期もあったといいます。昭……
「スーネー」は豆腐や味噌を用いた白和えのことで、ンジャナ(にがな=ホソバワダン)やンスナバー(ふだん草)がよく使われます。ほのかに苦味のあるにがなとたっぷりの豆腐を和えたンジャナスーネーは、日常食としても、また法事・旧盆・正月などの行事食としてもつくられます。島豆腐を丁寧に水きりするので水っぽさ……
ンムクジとはンム(いも=甘藷《かんしょ》)のでんぷんです。プットゥルーとは炒め物の中でも水分が多く、やわらかい仕上がりのものです。だしで溶いたでんぷんを多めの油で熱し、くずもちのようにまとめた料理で、コクがあり、食べごたえもしっかりして、小腹を満たすにはちょうどよいものです。日常のおかずやおやつ……
里芋の仲間で独特の粘りがある田芋《たいも》(ターンム)と、その茎(ずいき)であるムジに、豚肉や椎茸などを加えて練り上げた料理です。田芋のねっとりした食感とムジのとろみに豚肉とかつお節、干し椎茸のだしが合わさり味わい深い一品になっています。料理名の由来は「泥をわかす」で、田芋が鍋でフツフツと煮える……
クーブは昆布、イリチーは炒め煮です。ハレの日の料理として家庭や学校給食で伝え続けられています。昆布を炒めて食べるのは全国的に見ると珍しいと思いますが、時間をかけて昆布にだしを含ませ、ツヤツヤと照りがありしっとりとやわらかく仕上げるので、老若男女に好まれます。つくりたてもおいしく、時間がたって味が……
フチャギは、楕円形や俵形に形成されたもちにゆでた小豆をまぶしたものです。もちといってもついたもちではなく、もち粉に水を加えてつくる、だんごのようなもちです。十五夜(旧暦の8月15日)の供物として仏壇や火の神(火をつかさどる神)に供えます。また、沖縄本島の南西約300㎞に位置する宮古島地方では入学……
ムーチー(もち)は旧暦の12月8日に子どもの健康祈願、厄払いなどとしてつくられるもちです。サンニン(月桃)やクバなどの葉(カーサ)に包んで蒸すので、カーサムーチーともいわれます。仏壇や火の神(火をつかさどる神)にムーチーを供え、その年に子どもが生まれた家庭では「初ムーチー」といって親戚や近所に配……
「サーター」は砂糖、「アンダーギー」は油で揚げるという意味で、砂糖てんぷらともいいます。外はサクっと、中はふんわり揚がった沖縄風のドーナツで、丸いタネを揚げると片側がきれいに笑って(割れて)、チューリップのようなかわいらしい見た目と素朴な味わいで親しまれています。揚げたてはサクサクですが、日がた……
地漬は、亜熱帯性の気候の中で、塩と黒糖で野菜を長期に保存できる沖縄の代表的な漬物です。主に茶うけとして、またおかずの一品として食べられてきました。地漬の歴史は古く、琉球王朝時代に中国からの使節をもてなした際の献立に「地漬大根」の記載があります。 地漬は、黒糖の甘みもある独特な味です。べっ甲色にな……
沖縄の方言でアンダンスーの「アンダ」は豚の脂のことで、「ンス」は味噌のことをさしています。もともとは年に1回だけつぶす豚を大事に食べる保存食の知恵のひとつでした。砂糖も加わり甘辛く、ご飯にのせて食べたり、ポーポー(小麦粉を用いた薄焼きの皮にアンダンスーを入れて巻いた日常のおやつ)などにも使われて……
沖縄の代表的な内臓料理で、正月や結婚祝い、97歳を祝うカジマヤーの祝い、米寿を祝うトーカチの祝い、生まれ年の干支が巡ってきた年に祝う生年(トシビー)祝い、法事などでつくられます。沖縄の正月には、もともと他県のような雑煮やおせちはほとんどの地域にはなく、出される料理は地域や家庭によって異なりますが……
清明祭は、中国から伝来した祖先供養の行事といわれ、旧暦の3月上旬、二十四節気の一つ清明の頃盛大に行なわれます。墓前に親族や一族が集まり、重箱料理や果物などをお供えし共食します。聞き書きした那覇市の家庭では、本家が重箱料理をつくり、1970年代にはいとこやその子どもまで30名ほどが集まったそうです……
アーサ(ひとえぐさ)の青と豆腐の白の色彩が美しく、磯の香りがするおいしい汁です。調理も簡単なので、法事や祝宴などの行事で大勢の方をもてなすのに最適な汁とされてきました。 石垣市登野城《とのしろ》の聞き書き調査では、旧十六日(先祖のお正月。墓に行ってごちそうを供え皆でいただく祖先供養の行事)の後に……
ソーキとは豚の骨つきあばら肉のことです。ソーキ汁は豚肉と昆布の旨みが合わさった、コクのあるおいしい汁ものです。家庭で日常の料理としてもつくられますが、大晦日や正月の、お祝いの料理でもあります。 昔は、旧正月の前に、家々で飼っていた豚を屠《ほふ》りました。屠った豚からとれるソーキでつくる汁はとても……
沖縄では、昔から滋養強壮や、体調の悪いときにシンジムン(煎じもの)を食べてきました。チムシンジは栄養の豊富なチム(肝、レバー)と野菜をことことと煮こんで、滋養とともに野菜の旨みもいただく汁ものです。本来のシンジムンは塩味ということですが、汁を多めにつくって味噌で味つけして食べることもあるそうです……
シブイは冬瓜、ンブシーは具だくさんで汁けの多い、味噌味の煮物です。やわらかく煮えた冬瓜はかつお節と豚肉のだしをたっぷり含んでいます。シブインブシーは豆腐を入れて食べる家庭も多く、また、冬瓜以外にも時季の野菜を入れることもあり、煮物なので野菜をたくさんとることができます。 冬瓜は夏野菜ですが、長期……
田芋は水田で栽培されるサトイモ科の一種で、南方から伝わったかなり古い作物といわれています。水田の中で子芋を次々と増やすことから、子孫繫栄をもたらす縁起物として、現在でもさまざまな行事に欠かせない食材です。県内各地で食されており、沖縄本島ではターンム、宮古諸島ではターム、八重山諸島ではターンムと呼……
ジー(地)、マーミ(豆)は落花生のこと。落花生の産地としては、沖縄本島の北部、本部《もとぶ》半島の沖合に浮かぶ伊江《いえ》島が有名です。ジーマーミ豆腐は落花生をすりつぶして芋くず(ンムクジ=甘藷《かんしょ》でんぷん)を加えてかためたもので、落花生の風味とぷるんとした舌ざわりで好まれています。おか……
沖縄本島北部の本部《もとぶ》半島に位置する本部町は、起伏の多い地域で、八重岳《やえだけ》などの山岳部がある一方、かつお漁で有名な漁港などもあります。モーイとは和名をいばらのりという海藻で、加熱すると寒天のように固まるため、かまぼこやツナ缶など好みの具材を入れて、寄せものとして利用されています。同……