瀬戸内海沿岸では小えびの漁獲量が多く、県全域で日常的な食材として慣れ親しまれています。とれるのはブトエビと呼ばれているサルエビやアカエビなどで、地元のスーパーなどでは安価で手に入る身近な食材です。 かき揚げにするとえびは鮮やかな赤色になり、香ばしいえびの香りも立って、食欲がそそられます。三つ葉な……
柿の自然な甘さを加えた柿なますは、県内各地で見られます。秋は生柿を用い、冬には干し柿でつくります。山口県では、甘柿は富有柿、渋柿は西條柿が多いです。西條柿は西暦1000年頃から現在の広島県あたりを中心に栽培が始まったとされ、古くから中国地方に広く分布している代表的な品種です。やや縦長で側面に4本……
のっぺいは、山口県では、ふだんの食事につくることもありますが、地域によっては祭りや法事、地域の集まりのときにつくるものです。法事のときは精進にして、魚や肉を使いません。祝いの日で生臭《なまぐさ》の膳にする場合は、かまぼこを入れます。おせち料理のときには縁起がよいと、鶏肉を入れたりもします。
水田の少ない離島であった周防大島《すおうおおしま》では、米の節約のために、よくさつまいもを食べていました。蒸すだけでお腹を満たしたふかしいもをはじめ、干しいもや焼きいもにしました。また保存には生いもをスライスして乾燥させた「かんころ」をつくりました。それを粉にして水を加えてまとめ、蒸して「かんこ……
県の山間部ではこんにゃくいもの栽培がさかんであったため、家々で自家製こんにゃくがつくられ、刺身や白和えで食べていました。また、節分には「体の砂おろし」になると言ってこんにゃくを食べました。県北東部で島根県の津和野町に隣接する旧阿東《あとう》町(現山口市)の道の駅では、今でもこんにゃくいもが売られ……
瀬戸内海に浮かぶ周防大島では、米や麦は貴重だった反面、さつまいもは「いもの大島」といわれるほど多く栽培されていたので、さつまいもで増量したかいもちがよく食べられていました。 昔は、正月を過ぎたもちや1月上旬から寒明けの2月下旬につくる寒もちの一部は水もちにして保存しました。このもちをさつまいもと……
瀬戸内海に臨む山口市秋穂二島《あいおふたじま》地区は漁港や、かつては塩田がありました。秋穂八十八か所の霊場があり、春には大勢のお遍路さんでにぎわいます。道筋の家々はお遍路宿になり食事のもてなしをするお接待の風習も残っています。 そんな秋穂二島では、以前はピーナッツが多くつくられていたそうです。収……
県全域で食べられています。もちは冬の食べものでしたが、今では一年中、道の駅などで、生、焼いたもの、揚げたものなど販売されていて人気があります。 かきもちは、搗いたもちを木の角箱に入れて、ときどきひっくり返しながら適度なかたさになったらもち切りカッターで切り、もち棚に並べて干していました。 切った……
くじら肉入り混ぜご飯は、節分の料理です。くじらのかやくご飯と呼ぶ人もいます。県東部にあたる周防《すおう》の南部で食べられていたことが多いようです。 約50年前は、くじらは豚や牛以上に主要な肉だったそうです。当時くじらはブロック肉で販売されており、血抜きなどの下処理も家庭で行ないました。 山口市で……