山添村は奈良県の北東部、三重県との県境に位置する高原の村です。夏は冷涼、冬は厳寒な気候です。柿なますは、秋冬の家庭料理の常備菜として、また正月の祝い膳には必ずといっていいほど出される一品です。 なますに使う柿は、秋には生の柿を、それ以外の季節では干し柿や柿ゆべしなどを利用します。干し柿の紅色は紅……
大和郡山市や天理市など奈良盆地の周辺で、お盆にご先祖様にお供えしたり、家族が集まったりするときにつくる料理です。もとは真言宗のお盆の料理ですが、宗派は関係なくお供えする料理として家庭でつくられています。 夏に収穫できるもの、初物など7種を合わせてつくるぜいたくな料理です。材料は畑でとれたものが主……
奈良市は奈良時代に平城宮が置かれた古都で、シルクロードの終着点として天平文化が花開いた地です。盆地に位置するため、夏と冬で気温差が激しく、夏は暑く冬は寒い気候です。 のっぺいは、12月7日に奈良の春日大社のおん祭りに食べられる、奈良市の代表的な行事食です。のっぺいと呼ばれる10㎝角の立方体の絹揚……
県東部・三重県境に位置する宇陀市室生西谷には古くから万行寺《まんぎょうじ》という本願寺系の寺があり、行事で人寄りがあるときのまかないとして、また10月の村祭りのお祝いとして味ご飯がつくられます。とくに村祭りは松茸がとれる季節なので、松茸を神様へのお供え物にしたあと、その松茸を入れた味ご飯をつくり……
春から秋にかけての花見、夏祭り、収穫祭、各節句、運動会などの行事、また誕生日などの祝いごとにつくられてきました。県全体でつくられており、地域や家庭によって混ぜる具材は違います。 このレシピは奈良市のもので、春はきぬさや、夏はきゅうりなど季節によって具材を変えますが、高野豆腐とたくあんを刻んだもの……
奈良盆地の北端にあたる奈良市は、夏と冬で気温差が激しく、夏は暑く冬は寒い気候です。なすと揚げのたいたんは、夏が暑い奈良市の家庭では、冷蔵庫に常備している夏の定番の料理です。甘く濃い味つけなので、常温でも一晩ぐらいはおいておけます。冷ますと味がしみておいしくなります。 干しエビを入れることで煮汁に……
ずいきは里芋の葉柄です。里芋は当時、さつまいもとともに県内のどの家庭でも畑に植えてあるなじみの深いいもでした。里芋にはたくさん種類がありますが、干しずいきは八つ頭、海老芋など葉柄が赤い品種のずいきでつくります。夏から秋にかけて里芋が出回る時期には生のずいきを料理に使いますが、食べきれないものは乾……
いたどりは県内全域で見かける山野草ですが、県中央に位置する吉野や東部の大和高原の山間部、南端の十津川などでは食用にされています。十津川ではごんぱち、またはすかんぽとも呼ばれています。 吉野郡の山間部、大淀町栃原《おおよどちょうとちはら》では、春になると付近の山すそや畑の土手、路傍の草の中からいた……
早春を迎えて芽吹くよもぎを使っただんごを食べると、春の喜びを感じます。3月のお彼岸にはよもぎをたっぷり使って、どの家にもある売り物にならない小米《こごめ》の粉と、もち米を加えてその家ならではのだんごやもちがつくられていました。 米粉ともち米の割合で、口当たりや風味などが微妙に異なります。奈良県東……
奈良市では、節分の行事食として、また春の花見や運動会などには必ず巻きずしをつくりました。具は甘めに炊いた高野豆腐、そして自家製のたくあんを入れます。高野豆腐のだし汁がほどよくすし飯にしみこみます。また、縦に細長く切ったたくあんは食感がしっかりしているため、噛んだ際のカリカリとしたいい音がし、塩味……
県北東部の三重県境に位置する山添村で、干し柿の仕込みが終わった晩秋から冬にかけてつくられている漬物です。柿の皮漬物とも呼ばれています。干し柿をつくるためにむいた皮を縁側に干し、たくあんの漬け込みに備えます。柿の皮を使うので、たくあんにはほんのりと赤い色がつき、柿の甘味と風味も感じられます。 この……
奈良市で盂蘭盆会(お盆)の際につくられる本膳料理は、赤飯、吸い物、酢の物、煮物、漬物が並びます。普段は蔵に保管している専用の漆器を使います。赤飯は、「鼻付き飯」になるよう盛ります。一般的な「高盛り」のことですが、茶碗を持ち上げて食べるときに飯が鼻につくほど高く盛りつけることからこのような名前がつ……
奈良市で盂蘭盆会(お盆)の際につくられる本膳料理の中の一品です。昆布や干し椎茸などの精進だしで、出回り始めたばかりの里芋や乾物を煮含めます。精進だしのため、あっさりした味で色もあまりついていません。高野豆腐は他の具材とは別に煮たり、里芋やごぼうは下ゆでをしたりと、普通の煮物より手間がかかります。……
県全体で春になるとつくられる季節の味です。つくるのはたいてい春先、3~4月頃です。山ぶきは、家と田畑の間に流れる川の土手、山道の脇などでとれます。庭の果樹の根元、木陰になっているところにもよく生えています。普通のふきとは違って細いのが特徴で、山間部の直売所では6月上旬でも並んでいます。 佃煮は日……