春、県内の人たちが待ち遠しいのが、桜の開花と3月21日のしらす漁の解禁です。カタクチイワシやマイワシの稚魚であるしらすはプランクトンが豊富な駿河湾の特産で、漁港周辺では水揚げされたばかりの新鮮なしらすが流通します。しらすは足が早く鮮度のよいものしか生食できません。とれたての生しらすを熱々のご飯の……
たっぷりの大根と新鮮ないわしをごま酢味噌で和えています。にんじんの赤ととくわか(わけぎ)の緑が彩りを添え、酢味噌のさわやかさにごまのコクが加わり、おかずにも酒肴にもなります。祭りなどハレの日の料理で、焼き魚のほぐし身や根菜の煮物を混ぜ込んだごちそうの混ぜご飯「すさ飯」と一緒に食べました。「すさ飯……
“富山湾の神秘”と呼ばれ、春の訪れを告げるほたるいかは、普段は水深500~600mの深海にいます。春になると産卵のため上がってきて、群れをなして海岸近くに押し寄せます。まだ暗い未明、浜辺に無数のほたるいかが青白く光る光景はまさに神秘的です。 鮮度のよいほたるいかをゆでると胴が丸くなりつやが出て、……
県南部の海岸沿いではいろいろな魚や貝をぬた(酢味噌和え)にして食べます。海陽《かいよう》町から牟岐《むぎ》町の沿岸地域では、春先にとれる、つべた貝(ツメタガイ)、ばい貝(バイ)などの巻き貝を使います。磯でとれる巻き貝は「磯もん」と呼ばれるので、南部沿岸地域では磯もんのぬたの名称で親しまれてきまし……
おばいけ(尾羽毛)は、くじらの尾びれ部分のことです。ゼラチン質と脂肪からなり、ふわふわでプリプリとした独特な食感です。酢味噌で食べるのが一般的ですが、わけぎやねぎを加えたぬたにしてもおいしいものです。 おばいけのぬたは決してかしこまった料理ではなく、日常的によく食べていた家庭料理です。酒の肴とし……
「きらず」はおからのことで、料理するのに切る必要がないのでこう呼ばれます。「およごし」とはごま味噌和えのこと。ごまをたっぷり使った風味豊かなおかずです。さっぱりした飽きのこないおいしさで、箸休めにぴったりです。焼き物で知られる有田は「食い道楽」の地といわれますが、安価なおからもおいしく食べていま……
伊勢原市のある県中央部は温暖な気候で、豊かな平野が広がる農業のさかんな地域です。中でも小稲葉《こいなば》は稲作がさかんで、春の氏神様の祭りには卵でご飯を巻く太巻きずしをつくり、親戚や来客をもてなしました。このとき太巻きずしとともに祭りのお重に欠かせないのが、落花生を和え衣に使ったねぎぬたです。ね……