落花生の甘い煮豆と、かやくと呼ばれる別に煮た野菜を合わせたじゃじゃ豆は、みかんの産地として有名な県中部、紀伊水道に面し有田《ありだ》川の河口に広がる有田市初島地域の正月料理です。この地域は砂地のため開花期にたくさんの水を必要とする大豆を栽培できず、代わりに乾燥に強い落花生をつくって利用してきまし……
漁業のさかんな島原地方の料理で、乾燥させたイギリス草という海藻を使うので、いぎりすと呼ばれます。年中食べますが、おもに冠婚葬祭の際の行事食です。イギリス草とは紅藻類のいぎすのことですが、近年はあまりとれなくなり、それに伴い、いぎりすも以前より食べられなくなりました。愛媛県や広島県など瀬戸内海沿岸……
奄美大島で黒砂糖の原料となるサトウキビの栽培が始まったのは、約400年前です。昔は地域に共同の砂糖小屋があり、畑から刈ったサトウキビをそこに運び、きび汁をしぼって煮つめて黒砂糖をつくりました。島のほとんどの家庭では副業としてサトウキビ栽培に携わっていたので、自分の家で使う分は自分たちでつくり、毎……
県東部の真岡《もおか》市や益子《ましこ》町周辺は茨城県と隣接しており、肥沃で水はけのよい土地が広がります。茨城県や千葉県の特産である落花生はこのあたりでも主に自家用につくられ、ただ乾燥させて炒っただけでなく、とりたてを塩ゆでにしたり、甘い煮豆にしたり、落花生味噌にしたりして使ってきました。甘辛い……