海のない奈良県では、昔から海産物を使った料理は貴重でした。はもはハレの日の食事によく使われ、その焼き物は、奈良の夏を代表する料理の一つです。とくに大和高田市では7月の夏祭りに欠かせない料理で、今もつくられています。大和高田市は奈良盆地中西部の一角に位置し、大阪に隣接していることもあり、以前から大……
夏の定番の酢の物です。はもの皮はコラーゲンをたっぷり含んでいて、さっぱりした中にも食べごたえのある一品です。 はもの皮とは、かまぼこ用に身をとったあとの皮を焼いて刻んだもので、たこやちりめんじゃこ、わかめと並んで、きゅうりの酢の物によく使われました。昔は商店街のかまぼこ屋で「はもの皮あります」と……
京都の夏のごちそうとして外せないすしです。祇園祭にはあちこちでつくられ、ふるまわれます。鱧はうなぎや穴子よりも脂が少なく、すしにするとあっさりとした味わいに仕上がります。そんな鱧ずしのほうが「品がありまっしゃろ」と京都人には好まれます。 京都市内は海から遠く、新鮮な魚は入手困難でしたが、鱧は生命……
「麦わらだこに祭り鱧」といわれ、どちらも大阪の夏祭り頃が旬の食べものです。とくに鱧は天神祭りに欠かせません。雨の水を飲んだ鱧は、宵宮(7月24日)、本宮(25日)の頃が、一番おいしいとされます。湯引き、照り焼き(つけ焼き)、鱧ずし、鱧皮(焼いて刻んだ皮)ときゅうりの酢のもの、笛(浮袋)の吸いもの……