れんこん、ごぼう、大根などの根菜類と油揚げ、干し椎茸のごま酢和えです。熊野灘《くまのなだ》から那智山《なちさん》に至る那智勝浦町で、法事や人が集まるときのもてなし料理につくられてきました。見かけは地味ですが手がこんでおり、とくに法事には欠かせません。 この料理の要はごまをすることにあります。洗い……
野菜を豊富に使って、甘めに味つけした煮なますです。精進料理として法事や彼岸、お盆のお供えに出されました。大根やにんじん、ごぼう、れんこんなどの根菜類はしゃきしゃきとした歯ごたえで、別々に味つけた具材の煮汁が口の中に広がります。高野豆腐や油揚げも入り、食べごたえのある一品になっています。 かつては……
県央地区は畑作地帯で、煮和えは地元でとれた野菜を使ってつくられてきた料理です。水戸藩のお膝元である茨城県は寺院や神社が多く、子安講《こやすこう》(関東地方で見られる既婚の女性が集まって安産祈願のために子安観音や地蔵をまつる講)などの集まりが多い地域でした。そのような子安講や人寄せのとき、煮和えは……
厚めに切ったれんこんの、もちっとした食感に油揚げ(厚揚げ)のコクと香りが重なり、何ともいえないおいしさと食べごたえのある一品です。 金沢産のれんこんは加賀野菜を代表する食材で加賀れんこんといわれ、でんぷん質が多く、太くて肉厚、粘りの強いのが特徴です。家庭では日常的に煮物や天ぷら、酢れんこんなどに……
静岡市などの県中部では、新嘗祭《にいなめさい》(11月23日に五穀豊穣に感謝する祭り)や正月、人の集まるときには、おひらという野菜の煮物を用意します。野菜は形を生かすように大きめに切り、かつおだしと砂糖、醤油でやや甘めの味つけで丁寧に煮て、一人ひとりの器に1種類ずつ、皿にいっぱいになるように盛り……