馬かやきとは馬肉とこんにゃくなどを煮たもので、馬肉鍋、馬肉の煮こみと呼ぶこともあります。秋田県北には古くから鉱山が多く、金や銀、銅が採掘されました。旧南部藩の鹿角《かづの》は馬産地でもあり、過酷な肉体労働に従事する鉱夫たちが力をつけるため好んで食べたのが馬肉で、ここから馬肉文化が始まったとされて……
県の北東内陸部にある最上《もがみ》地方では、多くの農家が戦前から農耕用の馬を飼っていました。2歳馬を買って春は田起こしや代かき、冬場は材木の切り出しや運搬などに使い、4~5歳になったら肥らせて馬喰《ばくろう》(家畜商)に売って、また2歳馬を購入します。どこでも2~3年で更新するため、馬肉や馬《う……
四国山地の中腹に位置する山間部、祖谷《いや》地方で食べられている味噌田楽です。祖谷では昭和30年代まで夏でも囲炉裏《いろり》を使っており、でこまわしも囲炉裏で焼きました。串の上からじゃがいもが頭、豆腐が胴体、こんにゃくがスカートのようで、回しながら焼く様子が人形浄瑠璃の木偶《でく》人形(でこ)を……
煮味噌は常備菜として、県内のどの地域でもつくられていますが、南伊勢町、紀北町、尾鷲市など海に面する地域の場合は多くの漁獲に恵まれるため、魚介類の活用方法として、魚介を炊きこんだ煮味噌がつくられています。量的に少ない魚や名前が十分に広まっていない魚はあまり流通しませんが、これらの魚の、地元での利用……
幡多郡黒潮町など県西南部の沿岸地域は、太平洋の荒波で浸食された岩場が続きます。岩場は貝や海藻をとる漁場として生活に欠かせないもので、春、漁が解禁になると、潮が引いた浜辺の岩にへばりついたふのりを手でむしりとるように収穫していきます。子ども同士で磯の浜に遊びに行き、岩にくっついているふのりを貝殻で……